Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:循環器領域

(S706)

左室駆出率が保たれた症例で心臓周囲脂肪は拡張障害と関連する:腹部内臓脂肪との比較

Epicardial Fat Rather Than Abdominal Visceral Fat is Associated With Left Ventricular Diastolic Dysfunction

坂本 瞳1, 杜 徳尚2, 麻植 浩樹1, 大澤 和宏2, 鵜川 聡子2, 渡辺 修久1, 田辺 康治1, 伊藤 博2

Hitomi SAKAMOTO1, Norihisa TOH2, Hiroki OE1, Kazuhiro OHSAWA2, Satoko UGAWA2, Nobuhisa WATANABE1, Yasuharu TANABE1, Hiroshi ITO2

1岡山大学病院超音波診断センター, 2岡山大学病院循環器内科

1Center of Ultrasonic Diagnostics, Okayama University Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences, Okayama University Hospital

キーワード :

【背景】
内臓脂肪の蓄積はたとえ左室駆出率が保持されていても心血管疾患のリスクを高める.これまで内臓脂肪の評価にはCTで求められた腹部内臓脂肪面積が用いられていたが,最近では心エコー図で計測された心臓周囲脂肪の厚み(EFT)も用いられている.しかし,内臓脂肪はその沈着部位により心血管疾患のリスクが異なるかについては明かでない.一方,左室駆出率が保持された症例では拡張障害の程度も心血管事故の発症と関連が深く,予後規定因子として重要である.
【目的】
左室駆出率が保持された症例において,心臓周囲脂肪および腹部内臓脂肪と左室拡張障害との関連性とその相違について検討すること.
【方法】
左室駆出率が50%以上で心疾患の合併のない347例を対象とした.全例で心エコー図検査,CTでの腹部内臓脂肪面積の計測と血中BNP計測を行った.EFTは心エコー図で収縮末期に右室自由壁の前面で計測した.全症例をアメリカ心エコー図学会の拡張不全の指針に従って重症度分類を行った.
【結果】
EFTはE/A (r=0.14, p<0.05),e’ (r=0.15, p<0.01),E/e’ (r=0.18, p<0.01),左房容積係数(r=0.18, p<0.01),log BNP (r=0.16, p<0.01)と有意な相関を示した.しかし,腹部内臓脂肪面積はE/A (r=0.27, p<0.01)とe’ (r=0.17, p<0.01)とのみ相関を示した.EFTは拡張障害の重症度の進行とともに増加した (all p<0.05, Figure).
【結語】
左室駆出率が保持された症例において心臓周囲脂肪は腹部内臓脂肪と比較し,左室拡張障害とより密接に関連していた.心血管疾患のリスクは脂肪沈着部位により異なる可能性が示唆された.