Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:その他

(S699)

当院の超音波検査における感染予防について

Prevention of infection in ultrasonography

乙部 克彦1, 高橋 健一1, 川島 望1, 野田 孝浩1, 安田 慈1, 今吉 由美1, 熊田 卓2, 豊田 秀徳2, 多田 俊史2, 金森 明2

Katsuhiko OTOBE1, Kenichi TAKAHASHI1, Nozomi KAWASHIMA1, Takahiro NODA1, Shigeru YASUDA1, Yumi IMAYOSHI1, Takashi KUMADA2, Hidenori TOYODA2, Toshifumi TADA2, Akira KANAMORI2

1大垣市民病院診療検査科, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
超音波検査は簡便に検査ができるため外来検査室や病棟などで日常的に検査施行されているが,この超音波検査が院内感染の原因になるということはあまり知られていない.感染の原因には汚染したプローブによる感染や感染患者との接触などが挙げられる.超音波検査施行時に感染性腸炎はよく遭遇する疾患であるが,その中でウィルス性腸炎は小腸や大腸を主体とした拡張を呈することが多い.この所見を念頭においておかなければ腸閉塞と見間違えることもある.また拡張型腸炎を代表するノロウィルス腸炎は感染力が非常に強く,検査時の対処が感染予防という面で重要となる.昨年,当院の超音波検査室では,ノロウィルスにより,3名の超音波検査技師に感染者を出した.今回はその原因を含め,超音波室の感染対策について現状を報告する.
【方法】
1.感染者3名を含めた超音波検査技師に対しウィルス性腸炎の画像所見について調査した.2.患者ごとに手指消毒を行っているか,また感染患者への対応(マスク・手袋・ガウンの着用・リネン類)について調査した.3.抜き打ちで超音波プローブの表面を直接血液寒天培地皿につけ,炭酸ガス培養にて72時間培養を行い細菌汚染の検出を行った.
【結果】
1.拡張型腸炎の画像所見に対する知識が不十分であった.2.感染に対し危機感がなく,感染への知識やその予防策が不十分であった.また日常的な感染対策の必要性は認識しているが,忙しさなどからその実践を怠っていた.3.培養検査結果は,常在菌(グラム陽性球菌,グラム陽性桿菌,Bacillus)が検出されたが,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出されたプローブもあった.以上の結果より下記の対応策を行った.1.ノロウィルスを含めた感染性腸炎の画像所見を再確認し周知させた.2.標準予防策である手指消毒の徹底,感染症が疑われる患者にたいしては,マスクや手袋,ガウンの着用,検査枕やベッドカバーなどリネン類の交換など行った.3.ペーパータオルによるプローブに付着したゼリーの拭き取りを徹底させ,感染症が疑われる場合は,エタノール消毒液や次亜塩素酸ナトリウム液を併用した.これらのことを個々が感染対策を実践できるようにマニュアルを作成し,実演をふまえ周知徹底させた.以後,超音波検査室の検査技師からは感染者は1名も出していない.
【考察】
病院や医療機関はさまざまな病原体に感染しやすい場であり,院内感染が発生したとき,感染予防対策に不備が認められた場合などには,医療訴訟が起こるケースもある.医師や看護師だけではなく,超音波検査技師にとっても感染に対する知識や対応が非常に重要である.