Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
体表臓器:体表臓器

(S683)

皮膚混合腫瘍2例の超音波所見について

Ultrasonographic findings of mixed tumor of the skin: A report of two cases

忽那 明彦1, 森川 翔太1, 平塚 妙子1, 甲斐 亮三1, 筒井 佳奈1, 久富 栄子1, 古谷 清美1, 安森 弘太郎1, 村中 光1, 占部 和敬2

Akihiko KUTSUNA1, Shota MORIKAWA1, Taeko HIRATSUKA1, Ryozo KAI1, Kana TSUTSUI1, Eiko HISATOMI1, Kiyomi FURUYA1, Kotaro YASUMORI1, Toru MURANAKA1, Kazunori URABE2

1国立病院機構九州医療センター臨床研究センター放射線科, 2国立病院機構九州医療センター臨床研究センター皮膚科

1Department of Radiology, Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyushu Medical Center, 2Department of Dermatology, Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyushu Medical Center

キーワード :

【はじめに】
皮膚混合腫瘍(mixed tumor of the skin 以下MTSと略記する)は,比較的稀とされる皮膚原発の汗腺腫瘍である.今回術前超音波検査が施行された2症例を経験したので,その所見について報告する.
【症例】
症例1は70歳代女性で,数年前から鼻根部に皮下結節を自覚していたが,緩徐な増大傾向あり,眼鏡がかけづらくなり当院皮膚科を受診した.受診時鼻根部左側に約2cmの弾性硬,可動性良好な病変が触知された.超音波検査では皮下に境界比較的明瞭,内部は不均一な低エコー,高エコー部が混在する約20×12mm大の結節性病変として描出された.石灰化は不明瞭で,後方エコーは部分的に減弱していた.カラードプラ法では病変部の豊富な血流が検出された.
症例2は60歳代男性で,2年半程前より鼻唇溝左側の皮下結節の自覚あったが,増大傾向あり他院受診し,精査加療目的で当院皮膚科紹介受診となった.診察時,鼻唇溝左側に約1cm大の可動性良好な病変が触知された.超音波検査では,皮下に約9×8mm大の境界比較的明瞭で,内部は軽度高エコー,辺縁部主体に低エコー呈する結節性病変として認められた.石灰化は不明瞭で,後方エコーの増強を伴っていた.カラードプラ法で病変部血流は判然としないものの,パルスドプラー法で微弱ながら静脈性と思われる血流が検出された.
いずれの症例も局所麻酔下に腫瘍切除施行され,MTSの診断が得られ,再発は確認されていない.
【考察】
MTSは中年以降の男性に多く,ほとんどの症例が頭頚部に発生し,特に顔面部に好発する.臨床的に良性病変として扱われ,附属器腫瘍や粉瘤などと判断されている場合もある疾患で,組織学的には唾液腺に発生する多形腺腫に類似している.その特徴的な超音波所見に関しては現時点で明らかとなっていないが,今回の2症例については,いずれも境界明瞭で内部血流を有する結節性病変として描出された.症例2では粉瘤にも類似した所見もあり,内部血流がその鑑別の一助となり得えたかと思われ,その有無には細心の注意を要する.
【結語】
皮下病変の超音波所見は非特異的で診断に苦慮することが多いが,顔面領域で内部血流を有する境界明瞭な結節性病変の鑑別疾患の1つとして,稀ながらMTSの可能性を念頭に置く必要があると考えられる.