Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
体表臓器:体表臓器

(S682)

甲状腺における超音波エラストグラフィー検査の有用性の検討

usefulness of the elastography in thyroid tumor

原 由起子

Yukiko HARA

日本大学医学部乳腺内分泌外科

division of breast and endocrine surgery , department of surgery, nihon university school of medicine

キーワード :

【はじめに】
近年超音波エラストグラフィー検査が普及してきている.肝臓や乳腺に対する実用化は進んでいるが,今回甲状腺に対する超音波エラストグラフィー検査の手法に関して検討を行った.
【症例】
平成24年1月から11月までに当院にて甲状腺エラストグラフィー検査を行いかつ,FNACを行った21例を対象とした.FNACの結果はclassIIが17例,classIIIaが3例,classIVが1例であった.年齢は58.4±15.6歳,性別は男性3例,女性18例であった.病変の超音波上の大きさは18.0±8.65mmであった.
【方法】
甲状腺に対し超音波エラストグラフィー検査を行い,病変部の歪みを数値化した.また,定量性を高くするためにストレイン比による比較を行った.当初は病変部の「歪み」と,正常甲状腺部の「歪み」を比較することを考えたが,腺腫様甲状腺腫等では多発病変が多く正常甲状腺部がほとんど存在しないことも多く,困難であった.また,脂肪と比較することも頚部は非常に皮下脂肪が薄く困難であった.そのため今回は胸鎖乳突筋との「歪み」の比較が可能かどうか検討を行った.
【結果】
病変部のストレイン値は全症例で0.28±0.18,胸鎖乳突筋のストレイン値は0.74±0.50であった.また細胞診の結果が別でみると病変部のストレイン値はclassⅡの症例で0.29±0.23,classⅢa以上の症例で0.3±0.05であった.classⅢa以上の症例ではややストレイン値が高い傾向がみられたが,有意差は認められなかった.病変部と胸鎖乳突筋との「歪み」の比較ではclassⅡの症例で2.07(0.02-10.75),classⅢa以上の症例で2.78(1.03-5.00)であり差は認められなかった.また,病変の大きさで病変部のストレイン値の比較を行った.病変が2cm未満の症例(12例)での病変部のストレイン値は0.30±0.19,病変が2cm以上の症例(9例)では,0.25±0.16であった.一方,胸鎖乳突筋の「歪み」に関して男女差,年齢による差が認められるか検討した.胸鎖乳突筋のストレイン値は女性で0.69±0.53,男性で0.83±0.20で差は認められなかった.年齢別では50歳未満の症例では胸鎖乳突筋のストレイン値は0.57±0.57,50歳以上の症例で0.86±0.57で差は認められなかった.
【結語】
病変部のストレイン値はclassⅢa以上の症例ではややストレイン値が高い傾向がみられた.また胸鎖乳突筋のストレイン値は男女差,年齢差は認められなかった.今後症例を蓄積して更なる検討を行っていく予定である.