Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
腎泌尿器:腎泌尿器

(S679)

バスキュラーアクセス機能評価における左右上腕動脈血流量比の有用性

Efficacy of blood flow volume ratio of both brachial arteries for assessment of vascular access

川崎 俊博1, 宮花 礼子1, 前田 久美子1, 河野 靖2, 福田 祥大2, 田口 晴之2, 島田 健永3, 吉川 純一4

Toshihiro KAWASAKI1, Reiko MIYAHANA1, Kumiko MAEDA1, Yasushi KONO2, Shota FUKUDA2, Haruyuki TAGUCHI2, Kenei SHIMADA3, Junichi YOSHIKAWA4

1大阪掖済会病院臨床検査科生理機能検査室, 2大阪掖済会病院循環器内科, 3大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学, 4西宮渡辺心臓・血管センター循環器内科

1Deoartment of Clinical Laboratory, Osaka Ekisaikai Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Osaka Ekisaikai Hospital, 3Department of Internal Medicine and Cardiology, Osaka City University, Graduate School of Medicine, 4Department of Cardiovascular Medicine, Nishinomiya Watanabe Cardiovascular Center

キーワード :

【背景】
我が国の透析患者数は現在30万人を超え,年々増加傾向にある.さらに透析導入患者の高齢化,透析歴の長期化に伴いバスキュラーアクセス(VA)合併症も増加している.VA合併症の多くが狭窄に伴うVA不全であり,狭窄の早期発見,治療法の選択,治療時期を決定する上で超音波検査によるVA機能評価は有用である.VA機能評価には,超音波ドプラ法による上腕動脈血流量(BFV)及び上腕動脈の血管抵抗指数(RI)の二つの上腕動脈血流評価がある.上腕動脈血流評価は再現性が良く診断精度も高い為,現在VA機能評価に広く用いられている.しかし,判定基準にグレーゾーンがある事や,上腕動脈血流量とRIには乖離がみられる事があり,判断が困難な場合もある.
【目的】
VA機能評価の新しい指標として,左右上腕動脈血流量比(LRR)が有用であるか検討した.
【方法】
対象は脱血不良にて経皮的血管形成術(PTA)を施行した透析患者13例(男性9名,年齢68±7歳).PTA前のVAエコーにてVA側上腕動脈血流量(BFV)とRIを測定し,同様に非VA側でもBFVを測定しLRRを算出した.LRRは左右のBFVの比であり,VA側BFVを非VA側BFVで除したものとした.また,定期のVAエコーを施行した51例(男性25名,年齢68±12歳)を比較対象とし,2群間にて検討した.除外例として,上腕吻合例や鎖骨下動脈狭窄を有する症例は除外した.
【結果】
BFVは狭窄群では非狭窄群に比べ有意に低値であり,RIは有意に高値であった(それぞれp<0.05).また,LRRは狭窄群: 6.8±4.4,非狭窄群: 31.5±63.5と狭窄群で有意に低値であった(p<0.05).狭窄群13例中,6例にBFVとRIに乖離を認めた.乖離を認めた6例全てのLRRは低値を示した.
【結語】
VA機能評価において,左右上腕動脈血流量比は評価法の一つとして有用であると示唆された.今後,上腕動脈血流評価と併せて評価することで,より信頼性が高くなる可能性が示唆された.