Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
腎泌尿器:腎泌尿器

(S678)

造影超音波検査が術前画像検査として有用であった若年の巨大膀胱腫瘍の1例

A case of huge bladder tumor in young that contrast-enhanced ultrasonography was useful as a preoperative imaging test

鶴田 勝久, 山本 徳則, 舟橋 康人, 藤田 高史, 佐々 直人, 松川 宜久, 加藤 真史, 吉野 能, 後藤 百万

Katsuhisa TSURUTA, Tokunori YAMAMOTO, Yasuhito FUNAHASHI, Takashi FUJITA, Naoto SASSA, Yoshihisa MATSUKAWA, Masashi KATO, Yasushi YOSHINO, Momokazu GOTO

名古屋大学医学部附属病院泌尿器科

Urology, Nagoya University Hospital

キーワード :

【背景】
2007年1月に発売されたSonazoidを使用した造影超音波検査は肝腫瘤性病変の血流画像診断法として近年臨床応用されている.さらに泌尿器科分野でも腎病変に対して使用した報告がなされている.今回我々はSonazoid造影超音波検査を施行して,術前評価を行った巨大膀胱腫瘍の1例を経験した.
【症例】
29歳,女性.2年前より肉眼的血尿を認め,近医で膀胱炎の診断で抗生剤を投薬されていた.繰り返す膀胱炎のため近医精査で膀胱内に巨大膀胱腫瘍を認め当院紹介となった.CT検査では右後壁前面に最大径7cmの乳頭状腫瘍を認め,腫瘍による排尿障害をきたし両側水腎症をきたしていた.膀胱エコーでは腫瘍内に流入する血流を認め,ソナゾイド注入により著名な造影効果が確認された.また3D超音波検査による膀胱腫瘍頸部の形状が詳細に確認された.以上より血流豊富な有形性乳頭状膀胱腫瘍と考えられ,術中の出血が予想された.しかしながら,若年性そして尿細胞診より,細移行上皮癌の術前診断はできす,輸血準備の上,慎重な腫瘍切除と止血術を行いながら手術を終えることが出来た.合併症,輸血は行わず病理組織診断は乳頭状有形性膀胱移行上皮癌(pT2N0M0 TCC G2)であった.本教室は,造影超音波検査を行った全症例対象に下記手順でデジタル画像記録保存し,詳細なretrospectiveな解析を行っている.使用プローブはGE4Cプローブ(2.0-5.5 MHz)MI:0.20-0.29 FR:11Hzであった.画像検査手順を下記に示す.1)造影前のB-モードで全体的に十分な観察 2)造影前のカラードプラ,パワードプラ,B-flow,パルスドプライメージン 3)3Dエコー 4)造影剤注入後ー約40秒間 5)造影剤注入後,3分前後の画像を約20秒 6)造影剤注入後 5分前後の画像を約20秒 7)造影後のカラードプラ,パワードプラ,B-flow,パルスドプライメージング
【考察】
Sonazoid造影剤の使用によって,腫瘍内の血流が観察でき,術前評価の補助情報となり,手術プランを容易にし,無駄な出血を防ぐことができる可能性がある.Sonazoid造影超音波は空間分解能,時間分解能ともにすぐれた方法であり被検者への身体的負担も軽い.撮像方法や薬剤投与方法の工夫により,さらに画像の改善や新たな情報が得られる可能性がある.今後,泌尿器科領域の診断から治療にいたるまで広く活用されることが予測される