Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
消化器:胆・門脈Ⅰ

(S662)

Virtual Touch Tissue Quantification を用いた原発性胆汁性肝硬変の評価

Measurement of liver stiffness of Primary Biliary Cirrhosis by Virtual Touch Tissue Quantification

澁谷 友美, 後藤 隆, 大西 洋英

Tomomi SHIBUYA, Takashi GOTO, Hirohide OHNISHI

秋田大学医学部付属病院消化器内科学

Division of Gastroenterology, Akita University School of Medicine

キーワード :

【目的】
組織の固さを知る方法として,収束超音波パルスの音響放射圧を用いて生体組織内に微妙な変位を生じさせ,その程度から組織の固さの情報を得るAcoustic Radiation Force Impulse (ARFI) Imaging による Virtual Touch Tissue Quantification (VTTQ) が実用化された.しかし原発性胆汁性肝硬変の使用報告は未だ少ない.今回我々は本法の使用経験を通じて若干の知見が得られたので報告する.
【方法】
通常の超音波検査において,肝S5領域をVTTQにて連続6回測定し,測定値と生化学データ (AST, ALT, ALP, γGTP, 血小板,T. Bilirubin, IgM) および肝組織診断を得られた10例を比較検討した.対象は原発性胆汁性肝硬変と診断され,VTTQにて超音波検査が試行された 16例 (男性3, 女性13, 平均年齢 61.8±13.0歳) である.使用機器はシーメンスメディカル社 ACUSON S2000 (周波数:3.5 MHz) である.測定値との相関はSpearmanの相関係数を用いた.
【結果】
原発性胆汁性肝硬変におけるVTTQ測定値と,AST, ALT, T.Bilirubin, γGTPにおいては有意な相関を認めなかったが,血小板数と逆の相関を認めた(p=0.0012).また,有意差は認めなかったが IgM が高い例でVs値が高い傾向を認めた.組織学的 stage においては進行症例において高い傾向を認めたものの明らかな有意差を認めなかった.臨床病期におけるVTTQ測定値の平均は,a-PBCでは Vs=1.20±0.17(m/s) (0.91〜1.33(m/s)),s1-PBCでは Vs=1.17±0.25(m/s) (0.87〜1.57(m/s)) であり,明らかな有意差を認めなかった.s2-PBC症例は今回の検討では得られなかった.
【考察】
Virtual Touch Tissue Quantification におけるVTTQ測定値は原発性胆汁性肝硬変においても肝線維化を反映していることが示唆された.一方,ウイルス性肝疾患と比較して病状の進行と明確な相関を得られず,原発性胆汁性肝硬変における病態の違いを反映していると考えられた.今後,症例追加による更なる検討が必要と考えられる.