英文誌(2004-)
一般ポスター
循環器:先天性心疾患・その他
(S645)
右室二腔症の一例
A case of double chambered right ventricle
福岡 陽子1, 尾原 義和1, 西本 美香1, 山本 克人1, 谷内 亮水2, 清遠 由美2, 土井 由賀利2
Yohko FUKUOKA1, Yoshikazu OHARA1, Mika NISHIMOTO1, Katsuhito YAMAMOTO1, Ryosui TANIUCHI2, Yumi KIYOTOH2, Yukari DOI2
1高知医療センター循環器内科, 2高知医療センター医療技術局
1Department of Cardiology, Kochi Health Sciences Center, 2Department of Medical technology, Kochi Health Sciences Center
キーワード :
症例は71歳,女性.幼少期より心雑音を指摘され,18歳の時に心室中隔欠損症(VSD)と診断された.30歳頃に心臓カテーテル検査を受け,手術適応はないとの判断で,その後は特に症状なく受診していなかった.61歳の時に感染性心内膜炎で入院し,以降は心室中隔欠損,右室二腔症の診断で当院外来で経過観察されていた.心不全症状はなかったが,胸部CTで上行大動脈の拡大傾向(径56mm)を認め,胸部大動脈瘤の手術適応と判断し,精査加療を行った.経胸壁心エコーでは,右室内に異常筋束を認め,カラードプラ法では同部位を通過する血流はモザイク状シグナルを示し,約90mmHgの圧較差を生じていた.また,肺動脈弁直下に4.6mmの欠損孔と左右短絡血流シグナルを認め,漏斗部欠損が疑われた.心臓カテーテル検査では右室流入路と右室流出路で約70mmHgの圧較差を生じ,右室流出路で酸素飽和度の上昇を認めており,VSDは低圧腔にあることが示唆された.肺体血流比1.68,左右短絡率は40.4%であった.上行弓部大動脈人工血管置換術と同時に,右室内異常筋束の切除と心室中隔欠損閉鎖術を施行した.手術所見では心室中隔欠損症はKirklin Ⅰ型で大動脈弁右冠尖が嵌頓しており,心室中隔のmalaligmentを認めた.肺動脈弁は三尖で,肥厚していた.術後の心エコー検査では肺動脈弁性狭窄のみ残存し,20mmHg程度の圧較差を認めたが,右室内での圧較差は消失した.右室二腔症にI型VSD,肺動脈弁狭窄,胸部大動脈瘤を合併した1手術症例を経験したので報告する.