Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
頭頸部:頭頸部

(S625)

頚部リンパ節転移の診断におけるShear Wave Velocity測定の有用性の検討

Diagnostic feasibility of Shear Wave Velocity (SWV) measurement for cervical lymph node metastasis

岸本 理和, 立花 泰彦, 小畠 隆行, 尾松 徳彦, 小藤 昌志, 長谷川 安都佐, 高木 亮, 神立 進, 鎌田 正

Riwa KISHIMOTO, Yasuhiko TACHIBANA, Takayuki OBATA, Tokuhiko OMATSU, Masashi KOTO, Azusa HASEGAWA, Ryo TAKAGI, Susumu KANDATSU, Tadashi KAMADA

放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院

Center Hospital, National Institute of Radiological Sciences

キーワード :

【背景】
音響放射圧の技術を応用した剪断弾性波伝搬速度(shear wave velocity: SWV)の測定による組織弾性の定量評価は,肝や乳腺などで広く用いられ,臨床的にもその有用性が認められつつある.一方で,リンパ節の転移の診断には長年短径が用いられているが,それだけでは偽陽性・偽陰性が見られることが知られている.臨床的には転移リンパ節は硬く触知されることが多く,SWVの測定がリンパ節転移の有無の評価に役立つことが期待される.
【目的】
頭頚部悪性腫瘍症例における頚部リンパ節転移の評価に対するSWV測定の有用性を検討する.
【方法】
対象は2011年2月から2012年6月までにCTやMRI, PETで頚部リンパ節腫大を疑われ超音波検査を行い,少なくとも6か月以上の経過観察を行った頭頚部悪性腫瘍症例35例.短径が4mm以上で,少なくとも3回以上のSWV測定を行ったリンパ節80結節を対象とした.装置はシーメンス社製Acuson S2000で9MHzリニアプローベを用い,VTTQ (virtual touch tissue quantification)を使用して測定した.統計学的検討はSPSSを用いてt-検定を行った.
【結果】
35症例80個のリンパ節のうち,所見や経過から転移が疑われたが病理組織の得られなかった2結節は除外した.78個のうち,手術または生検で転移が確認されたものが5症例7結節,それ以外のうち,2症例3結節は手術で転移がないことが確認され,残りの28症例68結節は6か月以上の観察で増大傾向見られず,転移がないと判断された.転移陽性リンパ節のSWVは2.64±0.69(m/s),転移陰性リンパ節は1.66±0.35(m/s)で有意に転移陽性リンパ節で高かった(p<0.01).SWVが2.5m/s以上を転移とした場合の感度は71.4%,特異度98.6%,的中精度96.2%であった.短径が10mmを超えるものを転移とした場合の感度42.9%,特異度100%,的中精度94.9%であり,これと同等の診断能であった.SWVが2.5m/s以上かまたは短径が10mmを超えるものを転移とした場合の感度は85.7%,特異度98.6%,PPV85.7%,NPV98.6%,的中精度は97.4%であった.
【結論】
頚部リンパ節の転移の有無の評価に対してSWVの測定は有用な情報を付加すると考えられた.