Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
血管:血管

(S621)

IVUSガイド下IVRにて治療した大動脈人工血管吻合部リークの1例

A case of Anastomotic Leakage after Aortic Replacement Treated by IVUS-guided IVR

高瀬 圭

Kei TAKASE

東北大学病院放射線診断科

Department of Diagnostic Radiology, Tohoku University School of Medicine

キーワード :

【目的】
IVUSを術中に用いることで大動脈人工血管吻合部リーク部位を診断でき,IVUSガイド下IVRにて治療し得た1例を報告する.
【対象と方法】
50代男性,マルファン症候群による大動脈弁輪拡大,繰り返す大動脈解離にて,弓部,下行,腹部大動脈,腸骨動脈置換,左総腸骨動脈人工血管再置換術,左内腸骨動脈再建,右内腸骨動脈瘤結紮術を含む多数回手術例である.最終的に大動脈基部から両側腸骨動脈にかけて人工血管にて置換されており,腹部分枝も人工血管再建術後である.腹部人工血管からWrapping腔内へのリークに対し3年前にCTガイド下トロンビン注入術を施行されたが,リーク再発による上腹部瘤の再増大を来した.再建腹腔動脈と上腸間膜動脈起始部は閉塞し,末梢部は側副路にて造影されていた.人工血管吻合部からのリークによる仮性瘤と考えられ,多数回手術歴より再手術は困難と判断され,IVR(Interventional Radiology)による治療を計画したが,MDCTおよびDSAにてリーク部位が同定困難であった.両側総大腿動脈を穿刺し,両側から6Fr シースを留置,左側より6Fr guiding catheter(AR4)を挿入し,上腸間膜動脈吻合部近傍まで進めて造影したところ仮性瘤が描出されたものの,正確な位置は不明であった.左側より,IVUS catheter(Volcano, Visions PV. 018)を挿入し,仮性瘤の流出部を確認した(図).IVUSガイド下にリーク部位にカテーテル先端を操作し仮性瘤流出部に向かうように位置し,4Fr. VTA catheter125cmを瘤内に進め,これを芯としてリーク腔内に6Fカテーテルを挿入した.Bioptome-Assisted 0.052 coilを2巻きした後に引き抜いて人工血管内でも1巻きしてリーク孔を挟むように留置して塞栓した.再度IVUSにてコイルがリーク孔を挟んで位置しており,Wrapping腔内へのリークが消失したこと,および,大動脈内腔の血流を制限していないことを確認した.
【結果】
再手術治療困難症例で,MDCT,DSAによる画像診断でも小さなリーク部位同定が困難だったが,IVUS併用により部位の正確な診断ができ,IVUSガイド下にてIVRによる治療に成功した.塞栓直後のコイル位置確認にも有用であった.術後のMDCTにてリーク腔への血流は消失し,1年後の現在もリーク再発を認めていない.
【結論】
IVUSはIVR治療可能なリーク孔の描出と術中イメージとして有用である.0.052コイルを用いた本法はリーク孔の小さいリークや仮性瘤に対しては応用可能な方法と考えられる.