今吉 由美¹, 橋本 智子¹, 川島 望¹, 高木 優¹, 乙部 克彦¹, 高橋 健一¹, 安田 慈¹, 杉田 文芳¹, 亀井 桂太郎²

Yumi IMAYOSHI¹, Satoko HASHIMOTO¹, Nozomi KAWASHIMA¹, Yuu TAKAGI¹, Katsuhiko OTOBE¹, Kennichi TAKAHASHI¹, Shigeru YASUDA¹, Fumiyoshi SUGITA¹, Keitarou KAMEI²

¹大垣市民病院形態診断室, ²大垣市民病院外科

¹Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, ²Department of Surgery, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
乳腺領域において，超音波検査は簡便で侵襲が少なく，腫瘍の検出や鑑別診断，超音波ガイド下での生検や細胞診などに広く活用されているが，通常のBモード撮像では検出困難な，マンモグラフィや造影MRIでしか検出できないような病変も存在する．表在領域におけるソナゾイドを使用した造影超音波検査は，空間分解能の高さや造影剤の安全性，リアルタイム性など優れた点が多く，その保険適用が待たれていたが，2012年8月に乳房腫瘤性病変にも拡大適用されたため，当院でも乳腺腫瘍に対しソナゾイド造影超音波検査を開始することとなった．今回我々は，乳癌症例を中心にソナゾイド造影超音波検査を施行し，画像の評価を行ったので報告する．
【対象と方法】
対象は病理組織学的に乳癌と診断された症例とし，術前に造影超音波検査を実施した．超音波診断装置はProsound α7（日立アロカメディカル社製），プローブはリニア型高周波プローブUST-5412を使用した．通常のBモードとカラードプラ法で病変を観察した後，ターゲットとする断面を決定した．ソナゾイドは混濁液で1回0.0075ml/kg体重を静脈内投与した．MI値は0.23，フォーカスは画面の最下段に設定した．造影剤静注前から静注後約1分間は断面を固定して観察し動画で保存，その後，積算画像の作成や病変全体の観察を行った．画像の評価は，腫瘍内部の染影の均一性，腫瘍血管構築の観察，染影の範囲について検討し，time intensity curve（TIC）の作成も行った．
【結果】
腫瘤内部の染影の均一性は不均一なものが多く，病変の染影に一部defectが認められることが多かった．腫瘍血管の構築は線状や屈曲蛇行する不整を呈するものが多く見られた．周囲乳腺と比較して病変の染影のwash outも早い傾向にあり，TICでは急峻な立ち上がりと早いwash outが認められた．また，造影前のBモード画像で認識できた腫瘤の外側にも染影部位が認められる例も多く，造影MRIに近似しており，広がり診断としての有用性が示唆された．