Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
体表臓器:乳腺Ⅰ

(S606)

乳腺second-look USにおけるReal-time virtual sonography (RVS)を用いた工夫

The device of second-look US using Real-time virtual sonography (RVS) on breast imaging

竹内 浩司1, 堀越 浩幸2

Koji TAKEUCHI1, Hiroyuki HORIKOSHI2

1群馬県立がんセンター技術部, 2群馬県立がんセンター放射線診断部

1Clinical Laboratory, Gunma Prefectural Cancer center, 2Diagnostic Radiology, Gunma Prefectural Cancer center

キーワード :

【背景】
現在,乳腺超音波検査は仰臥位にて,またMRIは腹臥位にて検査が行われている.MRI検査のみにて指摘された病変では,偽陽性の可能性も含め慎重な検討が必要であるものの,生検を実施する場合適切に生検することは困難である.US以外の検査にて指摘された病変を,US上で確認する方法としてReal-time virtual sonography (以下RVS)がある.しかし,乳房検査における体位の違いは,結果に与える因子が広く実施されていない.
【目的】
MRIにて指摘された病変において,RVS施行時のUSの体位を腹臥位にて施行し,再び仰臥位にて病変を確認し生検を行う方法について検討した.
【対象および方法】
対象は,2009年12月〜2012年6月までに当院MRI検査にて腫瘤性病変を指摘され,MRIと超音波検査によるMRI synchronized RVS(MR-S RVS)を施行した20例20病変.使用装置は日立HI VISION-900,探触子はL54MAを用いた.MRIはシーメンスMAGNETOM Trio A Tim System(3.0T)を用いた.方法は,3テスラMRIにて指摘された病変をオンラインにて超音波装置内に取り込み,マンモトーム用ベッドを用い腹臥位にて対象乳房をベッドより露出しMR-S RVSを施行.RVSは1点法にて設定し,磁気トランスミッターをスタンドから外し,上下を反転した状態で乳房になるべく近い場所で固定した.最初にMR-S RVSにて描出された対象病変の確認と同時にその周囲の構造物との位置関係をとらえる.次いで,仰臥位にて,RVSを通常仕様にて併用しながら同病変を再確認する.体位により乳房 形状の変化が生じても,周囲との構造を確認することで,病変の同定はほぼ可能であった.プローブの位置を乳房上にマークし,US下にVABで組織を採取した.
【結果】
20例の腹臥位MR-S RVSを実施しいずれの症例においても,通常USで指摘されずMRIで指摘された異常部と一致する部位をMR-S RVSにて同定することができた.生検は19例で行われ,病理結果は悪性5例,乳腺良性疾患6例,8例は乳腺組織のみの採取であった.乳腺組織のみ検出されたうちの1例では,その後のopen biopsyにて,癌が検出された.病理組織学的検索を行った結果,病変は描出されたものの,VABが当たっていなかった可能性が示唆された.
【まとめ】
腹臥位MR-S RVSでは,MRI像と一致する部位の描出が可能であった.しかし,これら微妙な病変は硬くないため,仰臥位に変換すると容易に変形し,同定が困難となる.したがって,腹臥位の状態でUS下の生検が行えるよう開発が望まれる.また現時点では,生検時の目標が違っている可能性があり,良性もしくは正常乳腺と判断されても,後の画像再評価は必須と考えられる.