Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:症例

(S593)

中大脳動脈の血管抵抗の低下をきっかけに診断したサイトメガロウイルス感染症の一例

A case of CMV infection which was diagnosed with decrease of resistance index of MCA

久川 豊

Yutaka KYUKAWA

市立柏原病院産婦人科

Obsterics, Kashiwara city Hospital

キーワード :

胎児血流の評価に臍帯動脈および中大脳動脈の血流測定を行い血管抵抗を評価する事は一般的になってきている.しかし,胎児発育遅延や胎盤機能不全の症例に対し測定する事が多く,正常の妊婦に行う事は,一般的ではない.今回,正常な妊娠経過をたどっていたが,妊娠29週時に,臍帯動脈の血管抵抗は保たれているにも関わらず,中大脳動脈の血管抵抗の低下を認め,その後より子宮内発育が遅延し,原因検索をおこなったところサイトメガロウイルス感染症が判明した.また,サイトメガロウイルス感染症の報告のほとんどが胎児腹水,胎児胸水,胎児水腫,羊水過多をきっかけに診断された例であるが,今回の症例では,いずれの所見も呈しておらず,中大脳動脈の血管抵抗の低下のみが主な超音波所見であった.通常,臍帯動脈の血管抵抗が上昇し,それに引き続き,中大脳動脈の血管抵抗が低下してくるとされているが,本症例では臍帯動脈の血管抵抗は正常範囲であった. 臍帯動脈の血管抵抗測定は擬陽性も多く,正常の妊娠経過をたどっている場合,有意義ではないとされている.しかし,本症例のように,中大脳動脈の血管抵抗測定は,正常の妊娠経過をたどっている場合でも,早期の異常発見の指標となり得る可能性があるだろう.