Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児心臓・血管Ⅱ

(S590)

胎児臍静脈瘤の超音波診断

Ultrasonic diagnosis of Fetal umbilical vein varix

高橋 弘幸, 月原 悟, 辰村 正人

Hiroyuki TAKAHASHI, Satoru TSUKIHARA, Masato TATSUMURA

綜合病院山口赤十字病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Yamaguchi Red Cross Hospital

キーワード :

【緒言】
胎児臍静脈瘤(Fetal umbilical vein varix)は稀な異常であるとされるが,我々は6児の臍静脈瘤と1児の臍静脈拡張を経験したので報告する.
【症例】
<症例1> 33才,主婦,1妊・1産 近医で妊婦健診を受けていたが,34週5日,腹腔内臍静脈に接する嚢胞状の腫瘤を指摘され,34週6日,紹介初診.19mmの球形の腫瘤が臍静脈に接して存在し,内部に一定方向に回転する血流を認めた.静脈瘤に変化はなかったが以後の胎児発育が不良で,39週3日,2196gの女児をApgar Score 8/9で経腟分娩.<症例2> 35才,主婦,0妊・0産,体外授精妊娠,近医で双胎と診断され紹介.MD双胎と診断.29週5日,頚管長短縮(25mm)のため安静入院.31週2日,後続児に臍静脈の紡錘状12mmの拡張.32週3日,先進児も臍静脈が径16mmの球状.37週1日,選択帝王切開により,第1子,男児,2484g (臍静脈瘤),Apgar Score 8/9.第2子,男児,2078g (臍静脈拡張),Apgar Score 9/9.<症例3> 27才,主婦,0妊・0産,自然妊娠,近医で双胎と診断され紹介. MD双胎と診断.31週3日,安静目的入院.33週3日,先進児の臍静脈が門脈が分岐する手前で径11mmと瘤状に拡張しているのを確認.37週2日,拡張した部分から多数の静脈が分岐しているのを確認.37週3日,選択帝王切開により,第1子,男児,2516g (臍静脈瘤),Apgar Score 9/9.第2子,男児,2088g,Apgar Score 7/9.<症例4> 32才,主婦,2妊・0産,体外授精妊娠,近医で双胎と診断され紹介.DD双胎と診断.28週3日,頚管長短縮(20.3mm)のため安静入院.31週6日,先進児に臍静脈の棍棒状18mmの拡張を認めた.瘤状部内部に一定方向に回転する血流を認めた.36週2日,選択帝王切開で第1子,男児,2414g (臍静脈瘤),Apgar Score 8/9.第2子,男児,2624g Apgar Score 8/9.<症例5> 24才,主婦,2妊・1産,27週1日,近医で妊婦健診時に臍静脈の嚢胞状の拡張を指摘.27週4日,紹介初診,臍静脈に17mmの瘤を認めた.瘤状部内部に一定方向に回転する血流を認めた.入院精査したが,他に異常は無く,紹介元で,38週0日,2860gの女児をApgar Score 9/9で経腟分娩.<症例6> 36才,主婦,2妊・1産,25週1日,妊婦健診で両側脈絡叢嚢胞,胎児心奇形(AVSD),13mmの臍静脈瘤を認めた.27週1日,さらに小脳低形成,overlaping-finger,rokers bottom footを認め,羊水染色体検査により18trisomyと判明.40週4日,破水後,持続性除脈となり,3010gの男児をApgar0/1で経腟分娩.7時間後に新生児死亡.
【結語】
胎児臍静脈瘤は超音波画像上,様々な形状のものが存在する可能性があることが明らかとなった.今回の症例では,18trisomyの以外の症例は予後良好であったが,瘤内の血栓形成により,胎内死亡も報告されており,今後,症例の集積・分析により,リスクが高い形状や管理法が示される可能性がある.