Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:妊娠・分娩

(S587)

妊娠中期以降における正常妊婦子宮下部前壁の経時的変化

Age-related changes of normal anterior lower uterine segment at 20-35 weeks’ gestation

木村 いぶき1, 吉里 俊幸2, 讃井 絢子1, 荒木 陵多1, 小濱 大嗣2, 宮本 新吾1

Ibuki KIMURA1, Toshiyuki YOSHIZATO2, Ayako SANUI1, Ryota ARAKI1, Hirotsugu OBAMA2, Shingo MIYAMOTO1

1福岡大学病院産婦人科, 2福岡大学病院総合周産期母子医療センター

1Department of Ob/Gyn, Fukuoka University Hospital, 2Center for Maternal, Fetal and Neonatal Medicine, Fukuoka University Hospital

キーワード :

【目的】
我々は,既往帝王切開分娩症例を対象に妊娠中期における子宮下部前壁の厚さの経時的変化から切迫子宮破裂を分娩前に診断する研究を行ってきた.その基礎的研究として,正常妊婦における妊娠中期以降の子宮下部前壁の形状および厚さの経時的変化を観察することを目的とした.
【方法】
妊娠20-36週の正常単胎妊娠かつ頭位の,のべ73例を対象とした.内訳は,妊娠20-23週:21例,24-27週:19例,28-31週:18例,32-35週:15例であった.本研究は当施設倫理委員会の承認のもと,患者からの同意を得て行った.母体を仰臥位にした後,膀胱充満を行った.経腟超音波断層装置(Aloka社製prosound 6,経腟プローブの中心周波数:7.5MHz)を用い,子宮頸管と下部前壁を正中矢状断で描出した.子宮下部前壁が膀胱下端から頭側5cm程度まで描出できるように画像を拡大し,静止画像として取り込んだ.子宮下部前壁の厚さ(T)を,膀胱下端(T0)およびそれから頭側4cm(T4)まで1cm毎に,計5か所で,画像計測ソフトウエアを用いて計測した.T0を1とし,T1からT4を標準化した.妊娠期間毎に,T1からT4の群内比較から最適計測点を求めた.次にその計測点において,各妊娠期間におけるTの群間比較を行った.統計学的解析には,Kruskal-Wallis検定およびTukey HSD法を用い,有意水準はP<0.05とした.
【結果】
妊娠20-23,24-27,32-35週では,T0からT2まで薄くなるものの,それより頭側では有意差はなかった.妊娠28-31週ではT0からT3まで薄くなるものの,それより頭側では有意差はなかった.膀胱下端から3cmを定点とし,T3における各妊娠期間での群間比較を行った.妊娠20-23週(5.9±0.3 mm, mean±SEM)から24-27週(4.0±0.3 mm),28-31週(2.9±0.1 mm)へと次第に薄くなるものの,妊娠32-35週(3.3±0.2 mm)では有意差はなかった.
【結論】
妊娠20-35週における子宮下部前壁の形状は,膀胱下端から頭側2-3cmまでは次第に薄くなること,膀胱下端から3cmの部位での筋層の厚さは,妊娠24-27週までは次第に薄くなるものの,それ以降は一定であることがわかった.