Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:異常妊娠・胎児発育不全

(S582)

経腟超音波検査による頸管無力症の予測因子に関する検討

Prediction about the development of cervical incompetence by transvaginal ultrasonography

宮﨑 恭子1, 村上 優子1, 城 大空1, 平木 宏一1, 吉田 敦2, 村上 誠1, 布施 正樹1, 増崎 英明2

Kyoko MIYAZAKI1, Yuko MURAKAMI1, Ozora JO1, Koichi HIRAKI1, Atsushi YOSHIDA2, Makoto MURAKAMI1, Masaki FUSE1, Hideaki MASUZAKI2

1佐世保市立総合病院産婦人科, 2長崎大学産婦人科学教室

1Obstetrics and Gynecology, Sasebo City General Hospital, 2Obstetrics and Gynecology, Ngasaki University School of Medicine

キーワード :

【目的】
頸管無力症は妊娠中期の流早産の原因の約20%を占めており,その早期診断は極めて重要であるが,明確な診断基準はなく,予測困難とされている(周産期委員会報告・産婦人科診療ガイドライン産科編2011).今回,我々は当院で経験した頸管無力症について,経腟超音波検査による子宮頸管長に注目し,妊娠20週前後における子宮頸管長が頸管無力症発症の予測因子となるか否かについて検討した.
【対象・方法】
2010年1月から2012年11月までに,感染所見や明らかな子宮収縮がないにもかかわらず子宮頸管長短縮や胎胞形成を認め,頸管無力症と診断した初発の頸管無力症12例を対象とした.対象の患者背景,20週前後の子宮頸管長および妊娠経過について検討した.次に,対象のうち妊娠16週と妊娠20週の2ポイントで子宮頸管長を測定した症例をコントロール群と比較検討した.コントロール群は2012年4月以降に正期産で分娩した症例のうち,妊娠16週と妊娠20週前後の2ポイントで子宮頸管長を測定した32症例とした.
【結果】
対象の12例中6例(50%)が経産婦であり,12例中5例(42%)に頸管縫縮術が施行されていた.妊娠16週から20週前後で測定された子宮頸管長は,12例中4例(33%)が40mm以上,12例中3例(25%)は30mm-39mm,12例中4例( 33%)は20mm以下であった.胎胞形成は12例中9例(75%)に認め,その時期は妊娠20週6日〜妊娠26週4日であった.胎胞形成例の9例中7例(78%)は診断後1週間以内に分娩した.胎胞形成を認めなかった12例中3例(25%)はいずれも正期産で分娩した.妊娠16週と妊娠20週の両方で子宮頸管長が測定された症例は12例中2例であった.それらの子宮頸管長はそれぞれ41mm(妊娠16週)から31mm(妊娠20週),38mm(妊娠16週)から30mm(妊娠20週)であり,どちらも4週間で10mm程度の子宮頸管長短縮を認めた.コントロール群では16週前後での子宮頸管長の平均値は39.2(29-51)mm,20週前後での頸管長の平均値は40.4(20-53)mmと両者に差を認めなかった.
【考察】
今回の検討から,妊娠20週前後の1回の子宮頸管長測定のみでは予測困難な初発の頸管無力症が約1/3存在することが明らかとなった.また,2症例であるが,妊娠16週の子宮頸管長が妊娠20週で10mmの短縮を認める例は,頸管無力症のハイリスクであると考えられた.今回の後方視的検討により,妊娠中期の経腟超音波検査による子宮頸管長の経時的な変化を観察することで,頸管無力症が予測できる可能性が示唆された.