Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:腫瘍・羊水

(S580)

羊水過多68症例の検討

The causes of hydramnios in pregnancy

深見 達弥, 吉里 俊幸, 宮本 新吾

Tatsuya FUKAMI, Toshiyuki YOSHIZATO, Shingo MIYAMOTO

福岡大学産婦人科

Obstetrics & Gynecology, Fukuoka University

キーワード :

【目的】
胎児,母体の様々な疾患が羊水過多の原因となるが,原因により妊娠経過がどのように異なるかを検討した.
【方法】
2003年7月から2012年6月の10年間で羊水過多(羊水インデックスAFI;24cm以上)を認めた単胎妊娠68例について検討した.原因と推定される疾患については母体疾患(糖尿病),胎児疾患(染色体異常,消化管閉鎖,嚥下・通過障害,その他胎児因子),その他原因が特定できないものは特発性と分類した.各群において羊水過多を認めた平均時期,同時期の羊水量,平均分娩時期について検討を行った.統計はMann-Whitney検定を行い,p<0.05を有意とした.
【成績】
羊水過多の原因として母体糖尿病群10例(15%),胎児染色体異常群18例(26%),胎児消化管閉鎖群11例(16%),胎児嚥下・通過障害群5例(7%),その他胎児因子11例,特発性群13例(19%)であった.その他胎児因子はすべて染色体異常を伴わない胎児病であった.胎児因子による羊水過多は45例(66%)であり.染色体異常群18例中trisomy18は14例(78%)であった.羊水過多を認めた平均時期,同時期の羊水量は母体疾患群(中央値:30週0日,範囲:妊娠25週-36週,AFI;26.7cm),胎児疾患群(その他胎児因子は除く)(中央値:30週0日,範囲:妊娠25週-37週,AFI;28.6cm),特発性群(中央値:32週2日,範囲:妊娠27週-37週,AFI;27.3cm)であった.
【結論】
羊水過多において胎児疾患の可能性は高く詳細な胎児スクリーニングが必要である.胎児疾患に起因する羊水過多は母体疾患や特発性に比べ羊水過多が認められる時期が早期であり,また羊水量も多い傾向であることがわかった.また,母体疾患や特発性群では羊水過多が軽快する症例も存在した.