Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝癌以外の造影Ⅱ

(S572)

肝膿瘍に対するソナゾイイド造影超音波の有用性

Usefullness of Contrast-Enhanced Ultrasound using Sonazoid for liver abscess

友國 淳子1, 詫間 義隆2, 守本 洋一2, 高畠 弘行2, 萱原 隆久2, 山本 博2, 佐原 朗子1, 藤井 寛之1, 橋本 徹1

Junko TOMOKUNI1, Yoshitaka TAKUMA2, Yoichi MORIMOTO2, Hiroyuki TAKABATAKE2, Takahisa KAYAHARA2, Hiroshi YAMAMOTO2, Akiko SAHARA1, Hiroyuki FUJII1, Toru HASHIMOTO1

1倉敷中央病院臨床検査科, 2倉敷中央病院消化器内科

1Laboratory Medicine, Kurashiki Central Hospital, 2Gastroenterology, Kurashiki Central Hospital

キーワード :

【目的】
肝膿瘍は発生原因や時期により臨床像や画像所見は様々である.しかし,CTや通常のBモードでは,腫瘤内部の性状や液状化範囲,境界部などが判別困難な場合が多く治療介入の時期の決定にしばしば苦慮する.今回我々は,肝膿瘍に対してソナゾイド造影超音波(以下CEUS)を施行し,その画像所見を検討したので報告する.
【方法】
対象は2006年1月〜2012年11月に当施設で加療し,肝膿瘍と診断した214例中CEUSを施行した87例.使用機種はTOSHIBA社製APLIO XV,APLIO XG.検討項目は,発生原因,個数,隔壁の有無,境界,内部性状,大きさ,
【結果】
全例において血管早期相にて腫瘤周囲が濃染したが,炎症の範囲や,発生時期において染影輝度,濃染範囲に差があった.また1例は血性内溶液が貯溜し,内腔の液状化の確認が困難であったが,86例では内腔の液状化の確認ができた.87例中38例(43%)で多発,24例(27%)で隔壁なし,13例(14%)で境界不明瞭,2例でガスを産生していた.87例中62例(71%)で膿瘍穿刺を施行.起因菌としてK.pneumoniaeが28例(45%),E.coliが5例(8%),アメーバが5例(8%)認められた.CEUSにてアメーバによる肝膿瘍は隔壁がなく,単発で境界は明瞭,境界部は強く染影された.K.pneumoniaeによる肝膿瘍は24例(38%)で隔壁をもち,Bモードでは全例が境界不明瞭であったが,CEUSでは26例(41%)で明瞭に描出された.
【結語】
肝膿瘍に対して,CEUSを施行することは,隔壁の有無や境界部の染影の強さ,濃染範囲などを詳細に観察でき,病態や発生原因,治療介入の時期を予測できると考えられる.肝膿瘍においてCEUSは,病巣範囲の同定,発生原因,治療評価に有用であると考えられた.