Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:人間ドック・その他

(S566)

健診における腹部超音波検査のルーチン走査法としてのαスキャン

α scan as a routine scan method in the abdominal ultrasound for health check-up subjects

矢島 義昭1, 杉田 貴子2, 佐藤 武敏2, 堤 杏奈2, 武田 美衣2, 金井 久美子2, 田中 瑶子2

Yoshiaki YAJIMA1, Takako SUGITA2, Taketoshi SATOU2, Anna TUTUMI2, Mie TAKEDA2, Kumiko KANAI2, Yoko TANAKA2

1黒沢病院附属ヘルスパーククリニック内科, 2黒沢病院附属ヘルスパーククリニック検査部

1Department of Internal Medicine, Health Park Clinic Kurosawa, 2Clinical Laboratory, Health Park Clinic Kurosawa

キーワード :

腹部の超音波検査をルーチンで施行する際に重要なことは,腹部全体を隈なく走査することである.超音波検査は無侵襲,無痛で,かつ即時的に決定的な画像情報を入手することが可能である.このような特性をもつ超音波検査でスクリーニングをするからには腹部の全ての臓器が対象となる.超音波検査が臨床応用された当初は上腹部の実質臓器(肝胆膵,腎,脾)が主たる対象となり,これらの臓器を連続的にスキャンする方法として上腹部に“の”の字を書くように走査する“の”の字スキャンの呼称が提案され,今日でもよく使われている.しかしその後,腹部大動脈,骨盤臓器(膀胱,前立腺,子宮,卵巣)までも対象とする傾向にあり,さらには消化管(胃,大腸)までも対象とするべきとの主張もある.従来,我々は左肋間より①脾と左腎を走査し,②その後正中矢状断で大動脈〜下大静脈周辺を走査し,③心窩部横走査で肝外側区から始まり,③右季肋下走査で内側区〜胆嚢を走査,その後,④右葉〜右腎を走査して右肋間走査に移り,⑤右腎を走査し,⑥下位肋間より横隔膜直下を“見上げて”のち,順次肋間を上げていきながら,⑦門脈右枝〜総胆管を走査して,⑧再度胆嚢を頚部,底部を意図的に走査して,⑨心窩部に戻って膵周辺を観察する,連続走査を施行してきた.“の”の字スキャンとの差は膵から始めるか,脾から始めるかの相違であった.現在の健診施設で走査範囲を上腹部から腹部全体に拡大するにあたって,膵周辺の走査に続いて,⑩大動脈を横走査しながら下行して骨盤臓器へ至り,⑪膀胱ならびに周辺の前立腺,子宮,卵巣を走査している.この一連の連続走査は“α”の文字になぞらえることができた.このルーチンの連続走査を初心者に指導するにあたってαスキャンと呼称しているが“の”の字スキャンとの区別も分かり易く好評である.腹部全体を走査することを前提とした時に,このαスキャンとその呼称は有用ではないかと考えている.