Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:治療効果判定Ⅱ

(S562)

投与法の異なる肝動脈塞栓療法における造影超音波検査を用いた治療効果判定

Usefulness of contrast enhanced ultrasonography in assessing treatment effects using transarterial embolization of a different method

阿部 真久, 小川 眞広, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 松本 直樹, 中河原 浩史, 大城 周, 廣井 喜一, 山本 敏樹, 森山 光彦

Masahisa ABE, Masahiro OGAWA, Takao MIURA, Katuhiko SHIOZAWA, Naoki MATUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Shu OHSHIRO, Yoshikazu HIROI, Toshiki YAMAMOTO, Mituhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院内科

Internal medicine, Surugadai Nihon University Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波検査は,リピオドールの影響を受けないため治療直後の治療効果判定に用いられ既に報告がされている.今回我々は,薬剤の投与方法の異なる肝動脈塞栓療法(以下TACE)に対し造影超音波検査を用いた治療効果判定を行いその有用性を検討したので報告する.
【方法】
対象は当院で肝細胞がんに対して何らかの原因により切除またはラジオ波熱凝固療法の適応がなく肝動脈塞栓療法が施行された63症例97結節である.肝動脈塞栓療法はマイクロカテーテルを用いこれを通常のTACE群とし,過去にTACEが施行され治療が不十分だった症例に対しバルーン付きのマイクロカテーテルを使用しバルーン閉塞下にTACEを施行したB-TACE群とした.使用薬剤は両群ともにミリプラチンと多孔性ゼラチンスポンジを用いTACEを施行し,TACE群36結節とB-TACE群61結節においてsonazoid0.5ml/bodyを用いて造影超音波検査で,治療後1〜2日目と約1月後に効果判定を行った.治療効果判定は日本肝癌研究会肝癌治療効果判定基準作成委員会の直接治療効果度に準じて判定を行った.
【成績】
治療直後の造影超音波検査による効果判定ではTEⅣの割合がTACE群20.6%に対しB-TACE群49%であり有意にB-TACE群で高い抗腫瘍効果を認めていた.造影超音波検査の結果はTEⅣの評価は,1ヶ月後にもほぼ同じ成績を示していた.これに対し単純CTでは直後の評価はTACE群58%でB-TACE群71%であり直後の評価と1ヶ月後の評価は異なっていた.
【まとめ】
同じ薬剤であっても投与方法により抗腫瘍効果が異なることが確認され,B-TACEによりこれまでより高い抗腫瘍効果が得られTACEの1手法として有用な手法であることが確認された.造影超音波検査は,血流感度が高くわずかな血流もリピオドールの影響をあまり受けずに評価可能であり一見CT上リピオドールが充満している症例でも造影超音波検査で血流を認める症例は1月後のCTでTEⅢ以下になる症例が多く,治療直後より適格な治療効果予測が可能であることが確認された.造影超音波検査は,今後の治療戦略を考える上でもTACEにおける局所の評価法として極めて有用な手法になると考えられた.