Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝癌Ⅱ

(S559)

高分解能での造影超音波検査を目的とした当院での試み

Trial for contrast-enhanced Ultrasonography with the high resolution

伊藤 将倫1, 竹田 欽一2, 今泉 延1, 鈴木 誠治1, 傍嶋 智恵美1, 野島 あゆみ1, 西尾 雄司2, 安田 真理子2, 上野 泰明2, 金 正修2

Masatsugu ITOU1, Kinnichi TAKEDA2, Tadashi IMAIZUMI1, Seiji SUZUKI1, Chiemi SOBAJIMA1, Ayumi NOJIMA1, Yuuji NISHIO2, Mariko YASUDA2, Yasuaki UENO2, Jyonnsu KIMU2

1名鉄病院放射線科, 2名鉄病院消化器内科

1Department of Radiology, MEITETSU HOSPITAL, 2Department of Gastroenterology, MEITETSU HOSPITAL

キーワード :

【はじめに】
ソナゾイド造影超音波検査用ソフトの振幅変調法(Amplitude Modulation;AM法)は,造影剤の信号を明瞭に表示するが,普段B-mode観察に用いるPhase inversion harmonic法(B‐mode法)より分解能が劣る手法である.ソナゾイド造影超音波検査時に,より高分解能で高フレームレートの画像を取得することが可能であれば,更なる診断能の向上を図れると考えられる.今回,ルーチンScanに用いるPhase inversion harmonic法(B‐mode法)のMI値を0.2〜0.4に設定したmode(以下Low‐MI-B法)を用いて,ソナゾイド造影超音波検査を試みたので報告する.
【対象】
対象は,2012年6月から11月までにソナゾイド造影超音波検査を施行した,肝腫瘤性病変75症例.
【使用機器・方法】
GE Healthcare Japan社製LOGIQS8.Probeは腫瘤存在部位により,Convex・Linear probeを使い分け,MI値を0.2〜0.4に設定した.方法としては,AM法,Low‐MI-B法ともに視野深度は同一でscanを行い,フォーカスポイントは1点で同じ位置に設定した.手順として,AM法にて造影検査を施行.血管相を撮像し10分以降に後血管相を撮像した.引き続き,Low‐MI-B法に切り替え,AM法と同部位の後血管相を撮像.そのままLow‐MI-B法にて造影剤を再投与し撮像した.AM法とLow‐MI-B法での血管相での染影の程度や分解能評価および後血管相での拾い上げ等を観察した.
【結果】
AM法は,組織信号を抑制する送受信方法であり,画面が暗くなりモニターモードが必要である.高エコー腫瘤においては,実質の組織信号が抑制され,血流のみを明瞭に描出することが可能であった.Low‐MI-B法血管相では,視覚的に造影剤の信号を血流信号として表示でき,AM法より高分解能で高フレームレートの微細な血流画像が得られた.しかし,血流の豊富な結節は染影されるが,血流の乏しい結節や正常実質などはAM法と比べ弱い染影像となった.後血管相では,AM法は肝全体が強く染影され,浅部から深部まで均一した染影像を得る事ができた.Low‐MI-B法後血管相では,小さな腫瘤病変が明瞭に描出され,拾い上げ診断に有効な印象であった.しかし,実質信号が抑制されないため高エコー結節の,拾い上げ診断が困難であった.さらに,MI値やFocus pointによって,肝臓浅部の染影像が得られない症例も経験した.
【まとめ】
ルーチンScanに用いるPhase inversion harmonic法(B‐mode法)のMI値を0.2〜0.4に設定した造影超音波検査は,ソナゾイド造影超音波検査用ソフトと使い分けることによって,より診断能の向上が図れると思われた.