Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ) Ⅱ

(S557)

C型慢性肝炎の経過観察におけるVirtual Touch Tissue Quantificationの有用性

Clinical usefulness of Virtual Touch Tissue Quantification in the follow-up for chronic hepatitis C

是永 圭子1, 是永 匡紹2, 今村 雅俊1, 澤部 祥子3, 只野 薫3, 伊藤 里美3, 村田 一素2, 溝上 雅史2

Keiko KORENAGA1, Masaaki KORENAGA2, Masatoshi IMAMURA1, Shoko SAWABE3, Kaoru TADANO3, Satomi ITO3, Kazumoto MURATA2, Masashi MIZOGAMI2

1国立国際医療研究センター国府台病院消化器・肝臓内科, 2国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター, 3国立国際医療研究センター中央検査部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Kohnodai Hospital, National Center for Grobal Health and Medicine, 2The Research Center for Hepatitis and Immunology, National Center for Global Health and Medicine at Kohnod, 3Clinical Labolatory, Kohnodai Hospital, National Center for Grobal Health and Medicine

キーワード :

【目的】
Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)は,その測定値が組織学的に診断された肝線維化Stageと整合性があることが既に報告されており,侵襲の伴わない肝線維化評価法となり得るとされている.VTTQの簡便性・術者非依存性という利点からも経過観察への応用が期待されているが,同一症例を長期間観察し,VTTQとStage・血液学的な線維化マーカーとの関連を検討した報告は未だない.今回は肝線維化の経過観察の評価としてVTTQが有用であるか明らかにするために以下の検討を行った.
【方法】
2010年4月から2012年10月までにVTTQを施行した慢性肝疾患延べ2837症例のうち1年以上の経過観察中に3回以上異なる日時でVs値を測定した症例を対象とした.VTTQの測定は右肋間で肝表より約1〜2cmの部位にROIを設定し,安定して測定し得た5回以上のVelocity of shear wave(Vs)値の平均値を測定値とした.経過観察する上で同一症例におけるROIの深度設定は一定になるように留意した.検討1:組織学的にStageが診断された慢性肝疾患58症例(HBV7例/ HCV28例/アルコール4例/AIH5例/PBC5例/NASH4例/cryptogenic5例)においてVs値,線維化スコアFIB-4値を比較した.検討2: C型慢性肝炎に対するIFN治療が著効した16症例,無効であった4症例において治療前,治療終了1年後のVs値とFIB-4 値を比較した.
【成績】
Vs値はStage進行と共に有意に上昇した.ROC解析では,Stage4を判別するAUCROCは0.935でcut off値はVs2.00m/sが適切だった.Stage0/1群を判別するAUCROCは0.996で,cut off値はVs1.34m/sが妥当だった.Vs値とFIB-4 値の間には正の相関を認めたが(r=0.5586, P<0.001),Stage4もしくはStage3・4を併せた群を判別するためのAUCROC値はVsがFIB-4より高い値を示した.IFN治療が著効した群では,治療後のVs値は治療前に比べ著減したが(前1.47±0.30m/s→後1.08±0.19m/s,p<0.0005),FIB-4値は有意な変化はなかった(前2.77±1.79→後2.25±1.18).IFN治療が著効し,再生検により治療前Stage4から治療終了1年後にStage2〜3へ改善した症例では Vs値は低下したが(前1.96m/s→後1.46m/s),FIB-4値は上昇した(前2.71→後5.28).IFN治療不応群では,Vs ・FIB-4値共に治療前後で有意な変化はなかった.肝庇護剤投与例のうち,ALT値が40以上80IU/L未満で推移し且つVs値1.3m/s以上2.0m/s未満の30症例では,平均586±138日の経過でVs1.56±0.21m/sから1.69±0.53m/sと変化したが有意差はなかった.観察期間中ALT値が40IU/L未満で推移した12例では,Vs値は変動せず,FIB-4値も同様であった.
【結論】
C型慢性肝炎においてIFN治療著効群ではVs値は治療後に有意に低下したが,無効群では変化を認めなかった.治療が著効しながらも治療後にFIB-4値は上昇する症例も存在し,治療による線維化評価はVTTQが適していると考える.ALTが正常範囲内で変動しない群ではVs値の変動は殆ど認めず,ALT変動例で上昇傾向を示した事からも,長期間の観察における肝線維化評価法としてVTTQは有用である.