Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器・その他

(S546)

肝穿刺手技におけるVirtu TRAXの使用経験

Usefulness of liver biopsy and radiofrequency ablation with Virtu TRAX

武田 悠希1, 和久井 紀貴1, 2, 山内 芳也1, 藤田 充1, 植木 紳夫1, 大塚 隆文1, 2, 大場 信之1, 西中川 秀太1, 児島 辰也1

Yuki TAKEDA1, Noritaka WAKUI1, 2, Yoshiya YAMAUCHI1, Mitsuru FUJITA1, Nobuo UEKI1, Takafumi OTSUKA1, 2, Nobuyuki OBA1, Shyuta NISHINAKAGAWA1, Tatsuya KOJIMA1

1東京労災病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院消化器内科

1Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Rosai Hospital, 2Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

2012年8月からGE社製LOGIQ E9で使用可能となった新しい技術の一つとしてVirtu TRAXがある.Virtu TRAXとは,肝穿刺針の根元にポジションセンサーを取り付け,センサーから針先までの距離を登録することで,体外に置いたGPSにより針先の位置を超音波画面上で認識できる機能である.実際の穿刺は,まず針先を体表に接しながら針の角度を腫瘍の方向へ合わせると,超音波画面上にそのターゲットに向かってガイドラインが点線表示される.針先の位置は“V”の文字で表示される.針を穿刺していく過程で針先が表示断面よりも外れると□が大きくなり,近づくと小さくなる.表示断面上に一致すると断面上で+表示になる仕組みである.
【目的】
今回,我々はVirtu TRAXを用いて,ラジオ波焼灼療法(Cool-tip needle; 17G),肝生検(Core II semiautomatic biopsy needle; 16G),肝腫瘍生検(Majima needle; 19G)を行い,この機能の有用性を検討したので報告する.
【対象と方法】
2012年10月から12月までに肝生検,肝腫瘍生検,ラジオ波焼灼療法を行った5症例.内訳は肝生検2例(慢性C型肝炎に対するインターフェロン導入前の評価),肝腫瘍生検1例(肝細胞癌に対する分化度診断),ラジオ波焼灼療法2例(肝細胞癌治療).装置はGE社製LOGIQ E9とマイクロコンベックスプローブを使用しVirtu TRAXで穿刺を行った.
【結果】
Cool-tip needle(17G)を使用したラジオ波焼灼療法では針の撓みは少なく,超音波穿刺ガイドラインとほぼ同一の穿刺ルートで穿刺が可能であった.また焼灼時に発生するbubbleの中でも術中の針先を“V”表示でモニタできるため,針先を視認しながらablationを行うことが可能であり術中に自然に針が抜けてしまうトラブルが起こらず治療を終了できた.また焼灼後,bubbleのため針先の視認が難しい状況下で引き続き針の押し込みや引き抜きを行いたい場合にも,針先を見失うことがなかった.腫瘍生検は19Gと穿刺針が細いため,刺入の際,力を入れてしまうと針が撓んでしまい,容易にガイド表示がずれてしまった.肝生検は16Gと穿刺針が太く,ほぼ撓まないため超音波穿刺ガイドラインとほぼ同じ経路をたどり手技を行うことが可能であった.また穿刺した瞬間,さらに奥に進んだ針先を“V”表示でモニタ表示できるため,針先が脈管へ到達したか否か判別することが容易であった.
【結語】
Virtu TRAXを使用する場合には,針が撓まないように穿刺する必要がある.また,ラジオ波焼灼療法中のbubble内での針先の視認に特に有用であった.