Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器・その他

(S546)

炭酸ガスを使用した内視鏡検査後の体外式腹部超音波検査の検討

The study of trans-abdominal ultrasonography after the upper gastrointestinal endoscopy with carbon dioxide

今吉 由美1, 橋本 智子1, 乙部 克彦1, 高橋 健一1, 安田 慈1, 川島 望1, 高木 優1, 杉田 文芳1, 熊田 卓2, 多田 俊史2

Yumi IMAYOSHI1, Satoko HASHIMOTO1, Katsuhiko OTOBE1, Kennichi TAKAHASHI1, Shigeru YASUDA1, Nozomi KAWASHIMA1, Yuu TAKAGI1, Fumiyoshi SUGITA1, Takashi KUMADA2, Toshifumi TADA2

1大垣市民病院形態診断室, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Reseach, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
消化管の内視鏡検査では,現在炭酸ガスを用いた検査が主流となっている.当院では,これまで内視鏡検査と同日にスクリーニングとして腹部超音波検査を行うのが通例となっており,ガスの影響を避けるため内視鏡施行前に超音波検査を行ってきた.内視鏡検査に用いた炭酸ガスは,体内において15分ほどで吸収されると言われており,今回我々は,炭酸ガスを使用した内視鏡検査が超音波検査へ及ぼす影響,検査可能となる経過時間について検討を行ったので報告する.
【方法】
超音波装置装置はAplio XG(東芝メディカル社製),Prosound α7(日立アロカメディカル社製)を使用した.対象は正常人ボランティア11名,内視鏡検査前の腹部超音波検査にて上腹部臓器の描出が悪い例は対象外とした.対象の内訳は,男性3人,女性8人,平均年齢38.3歳であった.内視鏡は炭酸ガスを使用して検査を行い,腹部超音波検査を内視鏡施行前,内視鏡検査直後,15分後,30分後,60分後,90分後の計6回施行し,大動脈,膵臓,胃を中心に観察した.ルーチン検査において膵臓の描出は非常に重要であるため,主な評価部位を膵臓と胃前庭部とし,ガスの影響を最も受けやすいと考えられる腹側からのアプローチとした.画像評価は内視鏡施行前の超音波画像を基準とし,変化なし・臓器全体の80%以上が描出されているものを○,50%以下のものを×,50-80%のものを△として評価した.
【結果】
対象者全員の平均では,内視鏡検査直後では○と判定できたものは胃前庭部で45.5%,大動脈では36.4%と少なくなり,心窩部走査での描出が困難となる傾向であった.膵頭部は内視鏡直後で○と判定できたものが81.8%と低下したがその後徐々に回復した.膵体尾部は15分後において○と判定できたものが77.8%と低下し,その後回復傾向が見られたが,胃体部のガスの具合で90分後に描出不良となる例が見られた.胃前庭部は15分後,30分後では改善傾向にあったが,60分後では胃体部のガスが移動し描出不良となる例が認められた.大動脈,膵臓,胃で平均して○の判定が80%以上となったのは,内視鏡施行後,60分経過した時点であった.
【結語】
炭酸ガスを使用した内視鏡検査後に超音波検査を施行する場合には,60分経過後であればほぼ影響がなくなると思われた.