Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝癌Ⅰ

(S533)

造影エコー後血管相におけるnear flash法による腫瘤描出向上の使用経験

Use experience of the improvement in tumor depiction by the near flash method of the post vascular phase

今泉 延1, 竹田 欽一2, 西尾 雄司2, 安田 真理子2, 上野 泰明2, 伊藤 将倫1, 鈴木 誠治1, 傍嶋 智恵美1, 野島 あゆみ1

Tadashi IMAIZUMI1, Kinichi TAKEDA2, Yuji NISHIO2, Mariko YASUDA2, Yasuaki UENO2, Masatsugu ITOU1, Seiji SUZUKI1, Chiemi SOBAJIMA1, Ayumi NOJIMA1

1名鉄病院放射線科, 2名鉄病院消化器内科

1Department of Radiology, Meitetsu Hospital, 2Department of Gastroenterology, Meitetsu Hospital

キーワード :

【はじめに】
肝腫瘍性病変におけるソナゾイド造影エコー法(CEUS)は,診断・治療支援などで数多くの報告がされている.その中でも,後血管相では低い音圧を用いることで幾度の走査が可能であり,欠損による腫瘍の拾い上げなどの有用性が報告されている.しかし,周囲肝とコントラスト差が少ない(淡い欠損を呈す)腫瘍や深部に存在する腫瘍は見落としの原因や質的診断をも困難になってしまう欠点もある.これらの欠点を補う工夫として,腫瘍より近位部のバブルを崩壊させることで従来減衰し不鮮明になっていた腫瘍や深部が鮮明に観察できると考えられ,今回,後血管相撮像時にnear flash法という手法を考案し経験したので報告する.
【対象】
2012年9月より12月中旬までにCEUSを施行した91例中,組織診断および総合的画像診断により診断し,且つ,後血管相時にnear flash法を施行した肝腫瘍22例22結節.内訳は,肝細胞癌(HCC)高分化型5例,HCC中〜低分化型7例,転移性肝癌4例,肝血管腫2例,HCC RFA治療後3例,嚢胞1例.他にC型慢性肝炎での造影スクリーニング検査5例.
【使用機器・設定】
GE Healthcare LOGIQ S8を使用.プローブは,C1-5 コンベックスプローブと9Lリニアプローブを病変の位置により使い分けをした.造影モードは,Amplitude Modulation(AM)法,FrequencyはResolutionを用い,MI値は0.2〜0.3としfocus pointは1点.flashは1回/30フレームの高MI設定とした.
【撮像方法】
B-Modeで腫瘍を描出.ソナゾイドを推奨量の1/2を静注とし,focus pointは1点でdepthの約2/3程の位置に設定しAMモードでMI値0.2〜0.3にて血管相を撮像した.注入10分以降より血管相と同等のMI値およびfocus位置にて後血管相を撮像した.引き続き,focus位置のみを腫瘍よりプローブ側に変更しflashを2.3回繰り返し近位部のバブルを崩壊.その後,MI値等は変更させずにfocus位置のみを後血管相と同じ深部側に戻し,バブルによる減衰の少ない状態で撮像する方法をnear flash法とし後血管相と比較した.
【結果】
肝腫瘍22結節中B-Modeにおいて高エコー結節4例(18.2%),低エコー結節12例(54.5%)等エコー結節(描出できない腫瘍)5例(22.8%)無エコー結節1例(4.5%)であった.後血管相では,欠損10例(45.4%)で,淡い欠損8例(36.4%)で,欠損なし4例(18.2%)あった.そのうち後血管相で淡い欠損を呈した8例全例(100%)がnear flash法にて欠損が明瞭となった.C型慢性肝炎での造影スクリーニング5例の後血管相で欠損を呈した部分はないが,near flash法にて深部の染影が向上され良質な画像が得られた.
【まとめ】
後血管相におけるnear flash法は,淡い欠損を呈した腫瘍に対してより明瞭な欠損を把握する有効な手法であると思われた.また,通常の後血管相で欠損を呈した腫瘍でも,near flash法にて超音波の減衰が軽減され,腫瘍深部側などが鮮明に評価でき,内部エコーレベルもわかり,詳細な画像を得ることも可能であった.しかし,時間経過におけるwash outの影響やプローブでの圧迫における音波の拾い上げの違いなどで変化することなども考えられ,今後更なる検討が必要であると思われた.