Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器Ⅱ

(S532)

超音波検査で診断し得た巨大右胃大網動脈瘤の1例

A case of giant aneurysm of the right gastroepiploic artery detected with ultrasonography

松之舎 教子1, 塩津 聡一2, 田村 周二1, 石平 雅美1, 江藤 正明1, 三上 隆一2, 池田 宏国2, 勝山 栄治3, 小縣 正明2, 山本 満雄2

Michiko MATSUNOYA1, Soichi SHIOSHU2, Syuji TAMURA1, Masami ISHIHIRA1, Masaaki ETO1, Ryuichi MIKAMI2, Hirokuni IKEDA2, Eiji KATSUYAMA3, Masaaki OGATA2, Mitsuo YAMAMOTO2

1神戸市立医療センター西市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター西市民病院外科, 3神戸市立医療センター西市民病院臨床病理部

1Clinical Laboratory, Kobe City Medical Center West Hospital, 2Department of Sergery, Kobe City Medical Center West Hospital, 3Department of Pathology, Kobe City Medical Center West Hospital

キーワード :

症例は85歳,男性.主訴は便秘,腹痛.既往歴は高血圧,2001年3月直腸癌に対し,マイルズ手術施行し再発は認めず経過良好.現病歴は2012年10月,便秘と腹痛を主訴に当院外科外来受診した.腹部触診で下腹部正中に鶏卵大の腫瘤が触知され,精査目的にて超音波検査施行となる.腹部超音波検査では臍部やや右側に60mm大の拍動性腫瘤を認めた.辺縁は多層性の層状構造を呈し,腫瘤の中心付近に20mm大の拍動性血流がカラードプラにより確認された.動脈瘤と思われたが,腫瘤は腹部大動脈や総腸骨動脈と連続性は無く,胃体部と隣接し境界は不明瞭であった.更に拍動性血流を頭側へ追っていくと繰り返し蛇行・拡張した血管と内部にflapが観察され,胃十二指腸動脈を経由し,腹腔動脈へと繋がった為,右胃大網動脈瘤が疑われた.造影CTでは胃大網動脈に血栓形成した約70mm大の真性瘤と,左胃大網動脈にも紡錘状の瘤が確認された.以上の検査所見から,胃大網動脈瘤及び動脈解離と診断,動脈瘤破裂の危険性も危惧された為,同日緊急手術を行った.手術所見は胃大彎に大きさは約70mmの動脈瘤を中心に左右の胃大網動脈は数珠状拡張していた.動脈瘤は横行結腸と癒着していた為,胃大網動脈瘤及び,胃の一部と横行結腸の合併切除術をした.病理組織所見は内腔の拡張した動脈で,内部は凝血塊,壁には粥状硬化認め,真性動脈瘤と診断した.超音波検査より,動脈解離を伴った胃大網動脈瘤と診断し,緊急手術の一助となった稀な1症例を経験したので報告する.