Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:治療効果判定Ⅰ

(S523)

RFA焼灼範囲の推測方法についての検討

The Examination about the method of guess in the ablation zone of RFA

髙橋 政義, 池原 孝, 松清 靖, 塩澤 一恵, 永井 英成, 渡邉 学, 石井 耕司, 五十嵐 良典, 住野 泰清

Masayoshi TAKAHASHI, Takashi IKEHARA, Yasushi MATSUKIYO, Kazue SHIOZAWA, Hidenari NAGAI, Manabu WATANABE, Kouji ISHII, Yoshinori IGARASHI, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Toho University Omori Medical Center, Division of Gastroenterology and Hepatology

キーワード :

【目的】
HCC患者に対してRFAを行う際に,同一の電極針・焼灼方法であっても,症例によって得られる焼灼範囲の大きさは異なり,予測より焼灼範囲が小さくなり十分な安全域を確保できないことがある.Sonazoid造影超音波Kupffer phaseの肝実質内micro bubble(MB)に高音圧超音波ビームを照射した際の崩壊距離と,RFA焼灼範囲を比較しその関係について検討した.
【対象】
2008年1月から2012年11月までCool-tip 20 mm電極針でRFA単独治療した慢性肝疾患を伴うHCC62症例62結節.
【方法】
超音波装置は東芝社製AplioXGで3.75MHzコンベックス型プローブを使用した.超音波造影剤は0.015ml/kgのSonazoidを用い,肘静脈からbolus静注した後,生理食塩水10mlで注入した.造影検査時の装置の条件はpulse subtraction harmonic imaging modeに設定した.RFA施行前にSonazoid造影超音波検査を施行.肝右葉S5を肋間走査で描出し,Sonazoid投与後10分のKupffer phaseを観察.画面サイズは肝右葉が全て描出できるように調整し,focus pointは6cmに設定した.flash-replenishment sequenceの条件はmechanical index1.6, beam送信数30回とした.これを用いて超音波スキャンボリューム内のMBを崩壊させ,その後肝表面からのMB崩壊距離を測定した.その後RFA治療を行い,治療7日後の造影CTで焼灼部位横断面の最大径を測定し,造影超音波で得られたMB崩壊距離とを比較検討した.さらに治療前の各種肝線維化マーカー(Ⅳ型コラーゲン・7S, P-Ⅲ-P, ヒアルロン酸)とMB崩壊距離を比較した.
【結果】
MB崩壊距離と焼灼範囲には有意な負の相関があり,MB崩壊距離が深くなるに従いRFA焼灼範囲は狭くなった.またMB崩壊距離とⅣ型コラーゲン・7Sとは有意な正の相関を示したが,MB崩壊距離とP-Ⅲ-P,ヒアルロン酸との間には有意な相関は認められなかった.
【考察】
今回血管床の減少によって惹起された肝実質内灌流血液の多寡が個々のMBの差異を規定し,それを左右する因子の1つが線維化である可能性が考えられた.そのためMB崩壊距離が深く,肝実質内MBが少ない場合灌流血液が少なく熱を加えると乾燥しやすく焼灼範囲が狭くなったと推察された.
【結語】
MB崩壊距離からRFA焼灼範囲を推測し,焼灼範囲が狭くなると予想される症例は通常より大きく焼灼を行うことで十分な焼灼範囲を確保することが可能と考えられた.