Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:造影超音波

(S519)

造影超音波検査における肝細胞癌 washoutの早期検出の工夫

The device of early detection of HCC’s washout in contrast enhanced ultrasound with Sonazoid

竹内 浩司1, 堀越 浩幸2

Koji TAKEUCHI1, Hiroyuki HORIKOSHI2

1群馬県立がんセンター技術部, 2群馬県立がんセンター放射線診断部

1Clinical Laboratory, Gunma Prefectural Cancer center, 2Diagnostic Radiology, Gunma Prefectural Cancer center

キーワード :

【背景】
現在,腹部造影超音波検査ではソナゾイドを用いた検査を行っているが,造影後期相における低輝度変化(washout)の出現時間が,CTや MRIに比較して長い.この部分を改良できれば造影剤の普及が現状よりも増し,クッパー細胞相におけるwashout病変の検出を早期に観察できるなど,その利用価値は非常に高い.しかし,現状ではwashout病変の検出における工夫については,ほとんど報告をみない.
【目的】
造影剤を用いた検査時において,造影剤注入と同時に,脾臓にて造影剤を壊すことにより 造影剤のwashoutまでの時間を短縮することを目的とし,検査法の工夫を行い検討を行った.
【対象および方法】
対象は,2012年4月から2012年11月までに肝細胞癌と診断され内科的治療が選択された42症例42病変とした.平均年齢は72.7歳(60から86歳)であった.方法は,内科的治療(TACE)施行直前に造影超音波検査を実施.肝臓における撮像法として造影は,推奨量をボーラスにて投与し,肝臓に造影剤が確認された時点をstartとした.腫瘍の早期濃染像を確認(約1分間)後,肝全体の造影剤を破壊(約30秒)しその後,肝全体のwashoutまでの時間を計測した.計測は以降の検査の都合上5分までとした.また,今回の検討において,門脈腫瘍栓及びdiffuse typeのHCCは除外した.脾臓における走査は,他の1台を使用し,造影剤流入時から脾臓を描出し,通常の乳腺Bモード設定にて脾臓を描出し造影剤を破壊する.使用装置は肝臓をシーメンス社acuson-S2000,探触子は4C1を使用した.脾臓の描出は,日立EUB8500,探触子はL53を使用した.
【結果】
42病変中造影超音波検査にて5分以内にwashoutを確認できず,他の画像診断にてwashoutを確認したものは4例であった.造影超音波検査にて5分以内にwashoutを確認できた38病変における,平均washout timeは195.6秒であった.最短では,103秒.最長は,290秒であった.この内,この検討以前に通常の造影超音波検査を施行したことのある症例は19例あり,5分以内にwashoutを確認出来た症例は1例も認めなかった.以前に通常の造影超音波検査を施行した症例の今回の平均washout timeは200.1秒であった.
【まとめ】
造影超音波検査施行時に,脾臓にて造影剤を壊すことにより42例中38例で5分以内にwashoutを確認する事が出来た.これにより,washoutによる肝結節の検出が早期に可能となり,描出率の向上が期待できる可能性が示唆された.