Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:造影超音波

(S516)

Defect Re-Purfusion Imagingによる新しいHCCの診断方法とその教育システム

The epoch making method to diagnose the HCC is called Defect Reperfusion Imaging (DRPI) and edudcation system

小川 力1, 工藤 正俊2, 野田 晃世1, 柴峠 光成1, 村川 佳子3, 河合 直之3, 木太 秀行3, 嶋田 俊秀3, 廣瀬 哲朗4, 西平 友彦4

Chikara OGAWA1, Masatoshi KUDO2, Teruyo NODA1, Mitsusige SHIBATOUGE1, Yoshiko MURAKAWA3, Naoyuki KAWAI3, Hideyuki KITA3, Toshihide SHIMADA3, Teturou HIROSE4, Tomohiko NISHIHIRA4

1高松赤十字病院消化器内科, 2近畿大学医学部附属病院消化器内科, 3高松赤十字病院検査部, 4高松赤十字病院消化器外科

1Division of Gastroenterology and Hepatology, Takamatsu Red Cross Hospital, 2Department of Gastroenterology ang Hepatology, Kinki University School of Medicine, 3Division of Clinical laboratory, Takamatsu Red Cross Hospital, 4Division of Gastroenterological surgery, Takamatsu Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
EOB-MRI等の新しい検査法により,これまで指摘困難と言われてきた早期肝臓癌を診断する機会が増えたが,早期肝臓癌の診断に有用とされるEOB-MRIの肝細胞相の取り込みの低下の所見のうち,約10%はdysplastic noduleであるとの報告も認められる.また早期肝細胞癌は乏血性腫瘍であることも多いが,乏血性腫瘍に関する自然史に関しては不明な点も多く,肝癌診療マニュアルでは治療介入の目安としては造影超音波検査(ソナゾイド)における結節内の多血化およびEOB-MRIの肝細胞相,あるいは造影超音波検査でのPost vascular phase(Kuppfer相)での取り込みの低下が非常に重要とされる.近年造影超音波検査を用いた,新しい診断方法として提唱されたDefect Re-Pufusion Imaging(DRPI)は,診断のみならず,治療開始の目安,治療効果判定,治療支援として有用とされる.しかしならDPRIの対象となる結節は背景肝がLCであることが多く同定困難な場合や,以前に行ったRFA(ラジオ波焼灼術)の治療後結節と,対象結節との位置関係の同定が困難な場合もあり,超音波検査の初心者はその診断に難渋することがある.
【目的】
新しいHCCの診断方法として提唱されたDefect Re-Purfusion Imagingを用いたHCCの診断能を検討し,超音波検査初心者〜中級者でもその診断方法が受け入れられるかを検討した.
【方法】
2010年8月から2012年7月までに当院で肝腫瘤に対しソナゾイドを用いた造影超音波検査を行い,vascular phase,Post vascular phaseの診断だけではなく,DRPIまで行った340結節(平均腫瘍径 23.5±19.8mm:2.7-140mm)を対象に,Defect Re-Purfusion Imagingの診断能力を検討した.また比較的超音波検査の経験年数の少ない検査者が行う場合は,結節の同定を簡易に行うため,volume navigation system(V-NAVI)や3次元画像解析システムボリュームアナライザー SNAPSE VINCENTのアプリケーションソフトである仮想超音波解析機能を用いて,検査前に結節の同定を行ってから検査とした.使用機種はLogiq社製 Logiq E9,Logiq S8,および東芝社製Xario.ソナゾイドは0.010ml/Kgを静脈からボーラス投与を行い,投与10-15分後のPost vascular phase(Kuppfer相)で取り込みの低下を確認し,取り込みの低下を確認できた症例に関しては,その後再度ソナゾイドは0.010ml/Kgを静脈からボーラス投与を行いDRPIでの評価を行った.MI値は0.2-0.3とし,focus pointは腫瘍の深部に設定した.
【結果】
340結節のうち,HCCと診断した207結節に関しては,その他のmodarityとの比較では,ドーム直下,10cm以深病変,early HCCのうちdynamic CTでも門脈血の低下をごく軽度にしか認めていない結節に関しては,診断困難な結節が存在したが,それ以外の結節174結節(84.1%)の結節で,HCCとの診断が可能であった.また造影超音波検査をはじめて1年以内の検査施行者であっても,volume navigation system(V-NAVI)や仮想超音波解析機能を用いることで,ほぼ全例結節の同定は可能であった.またソナゾイドに投与による有害事象は1例も認められなかった.
【考察,結論】
非侵襲的に行え,空間分解能,リアルタイム性に優れるソナゾイドを用いた造影超音波検査は安全に施行でき,かつvolume navigation system(V-NAVI)や,3次元画像解析ソフトを用いた仮想超音波解析機能を用いることで,これまでの欠点であった検査者依存性の問題等は克服でき,今後HCCの診断手段として重要な位置を占める診断方法と考えられた.