英文誌(2004-)
一般口演
消化器:びまん性肝疾患Ⅰ
(S516)
類似画像検索機能を用いたびまん性肝疾患のCAD(Computer-aided diagnosis)の試み
Pilot study of Computer-aided diagnosis (CAD) for chronic liver disease using image-to-image matching
松本 直樹, 小川 眞広, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 阿部 真久, 中河原 浩史, 森山 光彦
Naoki MATSUMOTO, Masahiro OGAWA, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Masahisa ABE, Hiroshi NAKAGAWARA, Mitsuhiko MORIYAMA
日本大学医学部消化器肝臓内科
Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine
キーワード :
【目的】
画像診断の究極の形態の一つとして,コンピュータによる自動診断であるCADが挙げられる.超音波検査においては主に乳腺領域で開発が進んでいるが,腹部領域では報告は少ない.また最近の画像認識機能の進歩により,類似画像検索が可能となっている.任意の画像に対して,その他の複数枚の画像を対象として検索を行うと,それぞれ特徴量を算出して,類似した画像を一致率に従って抽出するというものである.胸部CTにおいて臨床応用が行われているが,超音波検査ではあまり報告されていない.今回,本機能によって検索を行う画像管理ソフトをびまん性肝疾患の鑑別に使用したので報告する.
【方法】
使用ソフトはSimiPix(フリーソフト).使用装置はLOGIQ7(GEヘルスケア).使用探触子は10L.正常肝(NL),脂肪肝(FL),肝硬変(LC)各々5例について,心窩部縦走査で肝縁を撮影した.Focusは2点で画面下端とし,Depthは6cmとした.Gain,Dynamic Rangeなどのパラメータも固定し,自動補正機能も使用しなかった.Bモード画像を保存した後,装置外へデータを出力して,外部のPCで上記ソフトを用いて比較を行った.データは肝縁にROIを置いて2cm角で切り抜いたものを使用した.
【成績】
12組が類似と判定され,上位からFL-FL,LC-LC,LC-LC,LC-LC,NL-LC,FL-FL,FL-LC,FL-LC,NL-NL,FL-NL,NL-NL,LC-LCの組み合わせで,8組で一致,4組で不一致だった.NL,FLの組み合わせでの不一致は1組のみだったのに対し,LCが含まれる組み合わせでの不一致は3組見られた.LC同士の組み合わせ全体からすると一致は4/24で16.7%,FL同士では2/24で8.3%,NL同士では2/24で8.3%であった.
【考察】
今回,正しく類似判定が成された組み合わせは8組であった.不一致だった組み合わせも含め,肝の背側の脂肪組織や胃などの高エコーを特徴量として算出していたと考えられ例も見られ,狙いとする肝そのものの形態を必ずしも反映した結果でないことも考えられた.今後,ソフトの改良や撮像法の工夫など,様々な改善の余地があると考えられた.