Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:冠動脈疾患

(S498)

急性冠症候群男性の冠動脈脆弱性評価に有用な頚動脈エコー所見の至適カットオフ値

Optimal Cut-off Value of Carotid Ultrasonographic Findings for Evaluating Coronary Vulnerability in Patients with Acute Coronary Syndrome

加藤 雅也1, 2, 瀧口 侑1, 中野 良規1, 香川 英介1, 佐々木 正太1, 土手 慶五1, 原田 和歌子2

Masaya KATO1, 2, Yu TAKIGUCHI1, Yoshinori NAKANO1, Eisuke KAGAWA1, Shota SASAKI1, Keigo DOTE1, Wakako HARADA2

1広島市立安佐市民病院循環器内科, 2広島市立安佐市民病院総合診療科

1Department of Cardiology, Hiroshima City Asa Hospital, 2Department of General Medicine, Hiroshima City Asa Hospital

キーワード :

血管障害のリスク層別化に頸動脈エコーが用いられ,内膜中膜複合体厚(IMT)やプラークの評価が重要とされている.JSH2009ではIMT>1.0mmが高血圧管理計画にためのリスク層別化に用いる予後影響因子とされている.われわれは2003年に冠動脈複雑病変(CCL)を複数認める急性冠症候群(ACS)患者の指標としてIMTと総頸動脈血管径(ICCAD)が有用であることを報告したが,先日JACCに発表されたIMPROVE研究ではIMTとICCADが心血管疾患の予測に有用であることが示された.そこでわれわれは日本人のACS患者における冠動脈複雑病変の予測のためのIMTおよびICCADの至適カットオフ値を検討した.
【方法】
ACSで緊急入院した連続385例の男性患者(64±11歳)を対象とし,冠動脈造影および頚動脈エコー検査所見を比較検討した.冠動脈造影ではCCLを評価し,CCLが単一か複数かを調べた.
【結果】
117例(30%)に複数のCCLを認めた.CCLの単一群と複数群の間には年齢,および糖尿病・喫煙・家族歴の有無に有意差を認めなかったが,複数群で高血圧患者が多かった (p<0.04).また複数群では血清LDL-C値が有意に高く(p<0.04),血清HDL-C値は有意に低かった(p=0.0005).多変量解析すると,高血圧,低HDL-C血症,高LDL-C血症が複数のCCLの有意な独立予測因子であった(それぞれp<0.05, p<0.05, p<0.02).頚動脈エコーでは総頚動脈平均IMT,最小IMT,最大IMTおよびICCADは複数のCCLを認めた患者で有意に高く(すべてp<0.0001),ROC曲線で求めた複数のCCLを予測するための至適カットオフ値は平均IMTが0.93mm(AUC 0.67),最大IMTが1.04mm(AUC 0.66),ICCADが7.87mm(AUC 0.64)であった.
【総括】
頚動脈エコーによるIMTおよびICCADは日本人のACS男性患者の冠動脈脆弱性を予測するために有用であり,その至適カットオフ値は,最大IMTが1.1mm,ICCADは8.0mmが妥当と考えられる.