小口 徳之¹, 竹村 明子¹, 長畑 公宣¹, 加賀谷 健一¹, 大海 延也¹, 駒形 良博^{1, 2}, 荒川 純子², 濱部 晃², 永井 知雄², 勝然 秀一²

Noriyuki KOGUCHI¹, Akiko TAKEMURA¹, Hironobu NAGAHATA¹, Kenichi KAGAYA¹, Nobuya DAIKAI¹, Yoshihiro KOMAGATA^{1, 2}, Jyunko ARAKAWA², Akira HAMABE², Tomoo NAGAI², Syuichi KATSUSHIKA²

¹自衛隊中央病院診療技術部, ²自衛隊中央病院循環器内科

¹Department of Clinical Laboratory., Japan Self Defence Forces Central Hospital., ²Department of Medicine Division of Cardiology., Japan Self Defence Forces Central Hospital.

キーワード :

【症例】
44歳　男性．既往歴：40歳時より高血圧．現病歴：動悸精査のため，ホルター心電図検査を実施したところPAC 4000/dayを認めたため心エコー検査実施となった．経胸壁心エコー検査（TTE）：肺動脈壁より主肺動脈に向かう異常血流を認め冠動脈肺動脈瘻が疑われた．明らかな冠動脈拡大所見や左室容量負荷所見は認めなかった．経食道心エコー検査（TEE）：TTE同様に，肺動脈壁より主肺動脈内に向かう異常血流を認めた．また，TTEでは指摘し得なかった右冠動脈起始部付近の大動脈壁から主肺動脈内へ異常血流を認め大動脈肺動脈瘻も疑われた．冠動脈CT：右冠動脈起始部付近の大動脈及び，左冠動脈前下行枝より肺動脈瘻を認めた．左右冠動脈に有意狭窄病変は認めなかった．Angio：右心カテーテル検査では，RV-main PA間O2 step up, Qp/Qsともに有意な上昇は認めなかった．CAGでは，左冠動脈前下行枝より肺動脈へ，右冠動脈起始部付近の大動脈から肺動脈へ，それぞれ異常血流を認めた．
【まとめ】
冠動脈肺動脈瘻は，1000例中0.08例との報告があり心エコー検査やCAG等で偶然発見され診断に至る事が多く本症例もTTEにて肺動脈内異常血流を指摘した事が診断のきっかけとなった．臨床的には，冠動脈狭窄や冠盗血現象による狭心症症状や冠動脈瘤形成等が問題となる．また，この症例の様に左右冠動脈より瘻を認める報告は稀なため，文献的考察を含め提示する．