藤原 理佐子¹, 鬼平 聡², 小野 幸彦¹, 伊藤 宏³

Risako FUJIWARA¹, Satoshi KIBIRA², Yukihiko ONO¹, Hiroshi ITO³

¹地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター循環器内科, ²きびら内科クリニック循環器内科, 内科, ³秋田大学大学院医学系研究科医学専攻, 機能展開医学系循環器内科学・呼吸器内科学

¹Cardiology, Independent Administrative Institution Akita Prefectural Hospital Organization Reseach Institute for Brain and Blood Vessels-Akita, ²Cardiology, Kibira Medical Clinic, ³Department of Cardiovascular and Respiratory Medicine, Akita University Graduate School of Medicine

キーワード :

【症例】
79歳女性．
【現病歴】
左顔面痙攣の手術目的に当院に入院された．今まで胸部症状の自覚はない．
【入院後経過】
術前の心機能評価目的に施行された経胸壁心エコーにて左心室起部後壁部位に心外膜側から左心室内へ流入する拡張期血流が描出され，また左心室心外膜側に拡張期に描出されるカラードップラー画像が複数見られ，冠動脈瘻が疑われた．顔面痙攣の手術後に冠動脈CTを施行，左冠動脈の著明な拡大及び蛇行，左前下降枝と左回旋枝が末梢で吻合し，左回旋枝起始後まもなく瘤状所見がみられ，同部位より左心室内へ流入する血流を捉えた．また右冠動脈は低形成を呈していた．
【結論】
79歳に至るまで特記狭心症様症状がなく経過し，術前経胸壁心エコーにて発見された，まれな左回旋枝より左心室内へ流入する冠動脈瘻症例を報告する．