Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:先天性心疾患Ⅱ

(S489)

高度な肺高血圧の成人心房中隔欠損症で閉鎖術後に症状,肺高血圧が著明に改善した一例

Remarkably improved symptoms and pulmonary hypertension after shunt closure in adult patient with large ASD;A case report

白井 たから1, 太田 剛弘1, 野元 陽太3, 谷川 崇2, 石川 世良1, 則岡 直樹1, 蒔田 直記1, 紙森 公雄1, 柳 志郎1, 澤 芳樹3

Takara SHIRAI1, Takahiro OTA1, Youta NOMOTO3, Takasi TANIGAWA2, Sera ISHIKAWA1, Naoki NORIOKA1, Naoki MAKITA1, Kimio KAMIMORI1, Shiro YANAGI1, Yoshiki SAWA3

1生長会府中病院循環器科, 2生長会府中病院生理機能検査室, 3大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学

1Division of Cardiology, Fuchu Hospital, 2Echocardiography Lab, Fuchu Hospital, 3Division of Cardiovasucular Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine

キーワード :

【症例】
58才.女性
【主訴】
息切れ,下腿浮腫
【現病歴】
小学生時弁膜症と言われたが著明な自覚症状なく経過してきたが2009年ごろから労作時息切れ,下腿浮腫など自覚し,近医から紹介にて心エコー検査施行した・
【検査結果】
経胸壁心エコーではLVEF 42%,著明な右心系拡大(RVDd56mm,TVD37mm),心室中隔の強い圧排,心房中隔欠損(ASD)を認めた.IVC呼吸変動なく拡大.三尖弁逆流を介した推定肺動脈収縮期圧は70-80mmHgと高度の肺高血圧による心房レベルでの両方向性短絡を疑わせる所見があり右心系の容量負荷,圧負荷ともに認めた.経食道エコーから36×28mmの2次口型心房中隔欠損と診断した.心電図はCRBBB,心房細動.胸部X線は心拡大認めCTR=74%.
【臨床経過】
手術の可能性を考え,Eisenmenger化の評価と共に血行動態を評価する目的で入院精査勧めたが,手術を含め侵襲的検査を希望されず,定期的に経胸壁心エコーによる観察を余儀なくされた.2012年夏ごろから息切れ,浮腫みなど症状増悪したため再度説明し,大学病院の心臓血管外科を紹介し肺血管抵抗など評価したところ肺高血圧は可逆性の可能性あると考えられ,閉鎖術施行された.術後は症状,肺高血圧,右心系負荷とも著明に改善した.術後心エコーではLVEF70.8%,RVDd49.4mm,TVD34.9mm.
【考案】
短絡疾患のASD例は心雑音など理学所見に乏しく小児期に診断されず成人になり右心系の容量負荷に加え高度の肺高血圧による右室圧負荷を伴って症状出現し心エコーにて始めて診断されることが少なくない.本例のような強い右室圧負荷を伴う症例は肺血管抵抗が手術後改善するか推定し,改善可能であれば積極的に欠損口閉鎖にて血行動態を改善することが望ましいと思われた.
【結語】
成人ASDに伴う高度肺高血圧の症例に対し外科的閉鎖術を施行し著名に改善した症例を経験した.