Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:薬物治療

(S485)

イルベサルタンは腎末梢血管抵抗を改善する 〜腎血管エコー検査を用いた検討〜

Improvement of Peripheral Renal Vascular Resistance by Irbesartan 〜 A Study Using Renovascular Ultrasound Examination 〜

西尾 進1, 山田 博胤1, 2, 發知 淳子2, 平田 有紀奈1, 友藤 達陽1, 坂東 美佳2, 林 修司1, 添木 武2, 佐田 政隆2

Susumu NISHIO1, Hirotsugu YAMADA1, 2, Junko HOTCHI2, Yukina HIRATA1, Tatsuaki TOMOFUJI1, Mika BANDO2, Syuji HAYASHI1, Takeshi SOEKI2, Masataka SATA2

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院循環器内科

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
高血圧治療の標準薬として,アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が広く用いられている.現在,日本では7種類のARBが使用可能であるが,ARBには本来の降圧効果以外に様々な多面的作用が知られている.その中でもイルベサルタンは微量アルブミン尿を有する2型糖尿病合併高血圧患者で,降圧効果とは独立した腎保護効果が証明されており,海外では糖尿病性腎症にも適応がある.また,腎血管エコー検査で記録できる腎葉間動脈血流速波形から計測する抵抗係数(R.I.:resistance index)は,末梢腎血管抵抗を反映するといわれている.
【目的】
降圧剤により加療中の高血圧患者において,他のARBからイルベサルタンに切り替え,腎末梢血管抵抗の指標である腎葉間動脈R.I.値の変化を検討すること.
【方法】
当院循環器内科に通院中で,イルベサルタン以外のARBにより高血圧治療を施行されている患者15例(平均年齢 70±9歳,男性6例,)を対象とした.装置は東芝社製 Aplio 80を用い,イルベサルタンに切り替え前後に腎血管エコー検査を施行し,腎動脈狭窄がないことを確認した後,腎葉間動脈血流を記録し,次式によりR.I.を計測し左右の平均を腎葉間動脈R.I.値とした.R.I.=(収縮期最高血流速度−拡張末期血流速度)/収縮期血流速度
【結果】
平均観察期間は300日(167−1022日)であった.切り替え前後での収縮期血圧は143±18 vs. 132±15mmHg;p=0.11,拡張期血圧は78±15 vs. 74±14 mmHg;p=0.14であった.腎葉間動脈血流波形のR.I.値は0.67±0.08 vs. 0.63±0.10;p<0.01で,イルベサルタン切り替え後で有意な低下を認めた.スポット尿における尿中微量アルブミン・クレアチニン比は0.32±0.28 vs. 0.20±0.16;p=0.25であった.このうち切り替え前の尿中微量アルブミン・クレアチニン比が0.3以上であった6例においては,その値は切り替え後に有意に低下した.
【結語】
他のARBからイルベサルタンに切り替えることにより,腎葉間動脈血流速波形のR.I.は有意に低下し,腎末梢血管抵抗の改善が示唆された.