Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:心筋症

(S480)

左室流出路狭窄と僧帽弁狭窄症の血行動態を合併した肥大型心筋症の一例

A case of hypertrophic cardiomyopathy with left ventricular obstruction and mitral valve stenosis

太田 光彦, 馬原 啓太郎, 間淵 圭, 佐々木 俊輔, 桃原 哲也, 梅村 純, 住吉 徹哉, 友池 仁暢

Mitsuhiko OTA, Keitarou MAHARA, Kei MABUCHI, Shunsuke SASAKI, Tetsuya TOUBARU, Jyun UMEMURA, Tetsuya SUMIYOSHI, Hitonobu TOMOIKE

公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科

Department of Cardiovascular Medicine, Sakakibara Heart Institute

キーワード :

【症例】
70歳代,男性
【主訴】
労作時呼吸困難
【現病歴】
1990年代後半に発作性心房細動で薬物治療を開始.2004年に非対称性左室肥大を指摘された.2012年8月に頻脈性心房細動・うっ血性心不全を発症し近医に入院.心不全加療を行い軽快退院した.しかし退院後間もなく労作時呼吸困難を自覚するようになったため,同年9月に再入院.心臓カテーテル検査で冠動脈に有意狭窄は認めなかったが左室流出路−大動脈間に最大90mmHgの圧較差を認めた.その後の薬物療法によっても圧較差の改善が乏しいため,左室流出路閉塞に対する治療検討目的に当院に転院.経胸壁心エコー図と3D経食道心エコー図検査を用いて僧帽弁および左室流出路を詳細に観察した.僧帽弁は前尖に高度の肥厚と可動性低下を認め,軽度のドーミングを呈していた.また弁下部組織も軽度肥厚していた.前尖は弁腹に高度の屈曲をきたしていた.後尖弁輪部に石灰化(MAC)を認め,後尖の可動性は低下していた.交連の癒合は認めなかった.前尖および弁下組織の収縮期前方運動(SAM)を認め,左室流出路の閉塞をきたしていた.同部位に最大4.7m/secの加速血流を認め,最大圧較差は88mmHgであった.
【結語】
左室流出路狭窄と僧帽弁狭窄症の血行動態を合併した肥大型心筋症の一例を経験したので報告する.