Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:感染症心内膜炎

(S478)

二尖弁大動脈弁閉鎖不全症に発症した感染性心内膜炎に大動脈弁周囲膿瘍を合併した一例

Case of Infective Endocarditis comobited with Periaortic Valvular Abscess based Bicuspid Aortic Regurgitation

江口 駿介, 古澤 健司, 長谷川 和生, 神谷 宏樹, 七里 守, 吉田 幸彦, 平山 治雄

Syunsuke EGUCHI, Kenji FURUSAWA, Kazuo HASEGAWA, Hiroki KAMIYA, Mamoru NANASATO, Yukihiko YOSHIDA, Haruo HIRAYAMA

名古屋第二赤十字病院循環器センター循環器内科

caldiology, Nagoya Daini Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
感染性心内膜炎に弁周囲膿瘍を合併することは決してまれではないが,早期診断することは実際に困難なこともある.
【症例】
69歳男性.47歳で指摘されて以来,近医にて二尖弁大動脈弁閉鎖不全症で経過観察されていた.
【現病歴と入院経過】
入院1週間前に発熱が出現し,以前より自覚していた体動時の腰痛が増悪したため近医を受診した.採血で炎症反応軽度上昇がみられたものの,経胸壁心エコーでは変化は見られなかった.入院当日朝に戦慄悪寒が出現したため当院救急外来を受診し,敗血症の疑いで入院となった.体温39.0度,心拍数149回/分,血圧89/54mmHg, 呼吸数21回/分,SpO2 98%(経鼻 3L/分).WBC 20300/ul,CRP 8.81mg/dlと上昇をみとめた.入院後は敗血症としてメロペネム8時間毎1gの投与を開始した.第2病日に経胸壁心エコーで,中等度の大動脈弁逆流と前医で確認されなかった大動脈弁の弁瘤とその先の疣贅を疑う構造物が確認された.第4病日に経食道心エコーを施行し,大動脈弁に疣贅を確認し,血液培養2本からペニシリンG感受性のStreptococcus intermediusが検出されたため,感染性心内膜炎の確定診断となった.抗生剤を同日からペニシリンG1日1800万単位とゲンタマイシン8時間毎60mgで治療した.血液培養で陰性確認し治療を継続したが,第17病日の胸部レントゲンで胸水と鬱血の悪化が見られ,経胸壁心エコーで弁の破壊の進行と大動脈弁閉鎖不全症の悪化が確認された.外科手術の適応と判断して,第20病日に準緊急で大動脈弁置換術を行った.弁穿孔,大動脈弁周囲膿瘍と無冠尖の逸脱および左室大動脈間の穿孔が確認された.
【結語】
術前に大動脈弁周囲膿瘍の診断をしえなかった教訓的一例であったので,文献的考察を加え報告した.