Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:感染症心内膜炎

(S477)

僧帽弁置換術30年後に人工弁感染性心内膜炎を来し3D-TEEが診断に有用であった一例

A Case of Mitral Valve Periprosthetic Leakage due to Prosthetic Valve Endocarditis Assessed by 3D-Transesophageal Echocardiography

臺 和興, 河越 卓司, 井上 一郎, 嶋谷 祐二, 三浦 史晴, 西岡 健司, 中間 泰晴, 岡 俊治, 大谷 尚之, 大井 邦臣

Kazuoki DAI, Takuji KAWAGOE, Ichiro INOUE, Yuji SHIMATANI, Fumiharu MIURA, Kenji NISHIOKA, Yasuharu NAKAMA, Toshiharu OKA, Takayuki OTANI, Kuniomi OOI

広島市立広島市民病院循環器内科

Department of Cardiology, Hiroshima City Hospital

キーワード :

【はじめに】
2D経食道心臓超音波検査 (TEE)において,人工弁の反射等により人工弁置換術後の詳細な観察は困難であったが,近年登場した3DTEEにより詳細な評価が可能となってきた.
【症例報告】
症例は69歳,女性.1982年に当院にて僧帽弁置換術(機械弁)を施行し,以後経過良好であった.2012年7月20日,めまい・嘔吐にて近医を受診し小脳梗塞の疑いにて入院となった.入院後,薬物治療が開始となったが,2012年7月下旬より発熱を認め,抗生剤投与による加療を受けたが改善せず,8月上旬より呼吸困難が出現した.胸部Xpにて心拡大,肺血管陰影の増強を認め,TTEにて僧帽弁位人工弁の高度逆流を認め,心不全の診断にて当院へ紹介転院となった.転院後のTTEでは,明らかな疣贅を認めなかったが,僧帽弁位人工弁の中隔側弁座の左房側への落ち込みを認め,同部位より高度の弁周囲逆流を認めた.TEEでは僧帽弁位人工弁に疣贅を認め,弁の動揺と高度の人工弁周囲逆流を認めた.3D-TEEでは,後交連側の弁座に強い動揺を認め,同部位からの弁周囲逆流を認めた.僧帽弁位人工弁感染性心内膜炎,弁座離開・人工弁周囲逆流による心不全と診断し,8月5日僧帽弁再置換術を施行した.
【考察】
人工弁置換術後の感染性心内膜炎,弁周囲逆流の評価において,3D-TEEは有用であると考えられた.僧帽弁置換術30年後に人工弁感染性心内膜炎・人工弁周囲逆流を来し,3D-TEEが診断に有用であった一例を経験したので報告する.