Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:左心機能Ⅱ

(S468)

コントラストエコーによる左室内渦流評価と左室機能に果たす役割

Role of Left Ventricular Vortex Flow on Myocardial Mechanics -Contrast Echocardiographic Study-

安部 晴彦1, SENGUPTA Partho2

Haruhiko ABE1, Partho SENGUPTA2

1国立病院機構大阪医療センター臨床研究センター, 2NYマウントサイナイ病院心臓血管センター

1Institute for Clinical Research, Osaka National Hospital, 2Zena & Micheal A Wiener Cardiovascular Institute, Mount Sinai School of Medicine

キーワード :

【背景】
最近,左室内渦流が注目されており,左室流入から駆出への血流方向転換および効率的血液運搬に重要な役割を果たしていると報告されている.MRIなど様々なモダリティによって左室内渦流の評価が行われているが,コントラストバブルを用いた心エコーによる左室内渦流の可視化,定量化も試みられている(Echo particle imaging velocimetry:Echo-PIV).
【目的】
Echo-PIVを用いて左室内渦流の心時相推移を観察し,左室内渦流と左室機能との関わりを調べること.
【方法】
心不全23例(EF>50%のDHF群10例,EF<50%のSHF群13例),C群(対照)19例に対して通常の心エコー検査の後,コントラスト剤を静脈注射後に心エコー動画を記録.オフラインでEcho-PIV解析を行い,拡張早期,拡張後期,等容収縮期の3つの心時相に分けて左室内渦流強度を調べ,通常の心エコー指標,左室仕事量や機械的効率,ストレインなど心機能指標との関わりを調べた.
【結果】
C群およびDHF群では,渦流強度は拡張後期と比較して等容収縮期で増大していた(C群;9.1±3.0/s vs. 11.8±3.8/s,p=0.002:DHF群;7.3±2.2/s vs. 10.0±4.5/s,p=0.01)が,SHF群では増大していなかった(7.5±2.7/s vs. 7.7±2.3/s,p=n.s.).重回帰分析で,等容収縮期の渦流強度の独立規定因子は拡張後期の渦流強度(p<0.001)および長軸方向のストレイン(p<0.01)であった(R2=0.63).等容収縮期で渦流強度が増大している例は,そうでない例に比し左室一回仕事量(p=0.02),左室機械的効率(p=0.001)の有意な高値を示した.
【総括】
Echo-PIVによる左室内渦流強度の定量は可能で,拡張後期から等容収縮期に渦流強度が維持されることが左室の仕事量や機械的効率に関わっていることが示唆された.