英文誌(2004-)
一般口演
循環器:左心機能Ⅰ
(S459)
左心不全患者における左室拡張機能と心臓交感神経障害の関連
Relationship between Left Ventricular Diastolic Function and Cardiac Sympathetic Nerve Activity in Heart Failure
山鳥 嘉樹, 大西 哲存, 茂 真由美, 松本 賢亮, 田中 秀和, 藤原 征, 川合 宏哉, 平田 健一
Yoshiki YAMADORI, Tetsuari ONISHI, Mayumi SHIGERU, Kensuke MATSUMOTO, Hidekazu TANAKA, Sei FUJIWARA, Hiroya KAWAI, Ken-ichi HIRATA
神戸大学大学院内科学講座循環器内科分野
Cardiovascular Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine
キーワード :
【背景】
心臓交感神経障害は左室収縮能低下と関連があり,心不全患者の予後に大きく影響している.一方,左室拡張能と心臓交感神経異常との関連は明らかではない.
【方法】
今回我々は当院に入院した左心不全患者79人(平均年齢66±14歳,女性21人)に対し,123I-MIBG心筋シンチグラフィ(MIBG)と心臓超音波検査を施行した.MIBGでは後期像における心臓/上縦隔比(H/M)および洗い出し率(WR)を測定し,心臓交感神経障害を評価した.心臓超音波検査ではパルスドプラ法による左室流入血流速波形を求め,拡張早期波(E波)と心房収縮波(A波)の流速比(E/A),およびE波の減速時間(DcT)を計測した.また,組織ドプラ法では僧帽弁輪部速度波形の拡張早期(e’)波を計測し,左室流入血流速波形のE波との比(E/e’)を求め,左室拡張能の評価とした.左室収縮機能指標として左室駆出率(EF)をシンプソン法にて測定した.
【結果】
全79症例において,後期像H/M(1.82±0.37),WR(44±15%),E/A(1.33±0.84),DcT(203±78ms),E/e’ (18±10),EF(41±15%)を計測しえた.後期像H/MとE/A(r=-0.30, p=0.007),DcT (r=0.28, p=0.01),EF(r=0.33, p=0.003)には有意な相関が認められたが,E/e’とは相関を認めなかった.多変量解析にて,E/AとEFは後期像H/Mの独立した規定因子であった(ともにp<0.05).一方,WORとE/A(r=0.32, p=0.004),DcT(r=-0.28, p=0.0015),E/e’ (r=0.30, p=0.02)はいずれも有意な相関を認めたが,EFとは相関を認めなかった(p=0.1).多変量解析にて,E/AはWORの独立した規定因子であった(p=0.007).
【結論】
左心不全患者において,左室拡張能指標と心臓交感神経指標の間には有意な相関が認められた.特にE/Aは後期像H/MおよびWRの独立規定因子であり,心臓交感神経障害と密接な関連があることが示された.