Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:血管Ⅱ

(S458)

頸動脈STENT(CAS)術前超音波検査の有用性

The usefulness of ultrasound test preoperative carotid artery stenting

安田 英明1, 市川 宏紀1, 川島 望1, 高橋 健一1, 乙部 克彦1, 上杉 道伯2, 坪井 英之2, 曽根 孝仁2

Hideaki YASUDA1, Hironori ICHIKAWA1, Nozomi KAWASHIMA1, Kenichi TAKAHASHI1, Katsuhiko OTOBE1, Michitaka UESUGI2, Hideyuki TSUBOI2, Takahito SONE2

1大垣市民病院診療検査科, 2大垣市民病院循環器内科

1Depertment of Clinical Reserch, Ogaki Municipal Hospital, 2Depertment of Cardiology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
2008年4月より頸動脈STENT留置術(CAS:carotid artery stenting)が保険適応となり,当院でも同年6月より循環器内科と脳神経外科で行っている.このCASを行う際には,塞栓症等の合併症が問題となるので,術前には超音波,CT等で病態を十分評価してから行っている.
【目的】
超音波検査で得られる頸動脈の情報が,CASを行う際にどの程度有用な情報となるか検討する.
【対象】
2008年6月から2012年10月までに循環器内科で頸動脈STENT留置術が施行され,術前ほぼ同時期に頸動脈超音波検査とCTが施行された33例(男性:32例,女性:1例).年齢は歳56〜85歳(平均:72.6±7.3歳)
【検討方法】
(1)比較対象として,狭窄部プラークのCT値を3点計測し,その平均値を合併症の有無で比較した.(2)狭窄部プラークのエコー輝度を,壁より低輝度のものを低輝度群,壁と同等なものを等輝度群,壁より高輝度なものを高輝度群に別けCT値を比較した.(3)合併症の有無で,患側総頸動脈の収縮期最高流速(PSV)及び拡張末期流速(EDV)を比較した.(4) 合併症の有無で心機能に差が無いか左室駆出率(LVEF)を比較した.
【使用機器】
・東芝社製Aplio XG, Aplio XV ・アロカ社製prosoundα10, α7, α5 ・GE社製LOGIC700
【結果】
(1)合併症有群の頸動脈狭窄部プラークCT値=39.36±17.45HUで,合併症無群=55.96±27.89HUに比し有意(p=0.049)に低値を示した.(2)頸動脈プラークのエコー輝度とCTとの関係は低輝度プラーク群=30.6±11.3HU,等輝度プラーク群=62.3±12.2HU,高輝度プラーク群=110.2±21.0HUとエコー輝度が低いとCT値も低値を示した.(3)総頸動脈の流速は合併症有群でPSV=55.3±19.1cm/s,EDV=10.8±7.1cm/s,合併症無群ではPSV=56.9±16.5cm/s,EDV=12.1±5.0cm/sとなり,合併症の有無で統計学的有意差は認めなかった.(4)合併症の有無での心機能は,合併症有群がLVEF=62.0±9.6%,合併症無群ではLVEF=60.7±14.0%となり,合併症の有無で統計学的有意差は認めなかった.
【考察】
冠動脈CTにおいて低CT値プラークが不安定プラークとされているが,頸動脈においても同様であった.そのCT値とエコー輝度が相関していたことよりプラークのエコー輝度が合併症の予測因子となり得ると考える.今回のエコー輝度は視覚評価で行ったが,定量評価ができれば,より詳細に評価できると思われる.頸動脈超音波検査は,CTやMRIに比し,短時間で無侵襲に行うことができ,またプラークのエコー輝度が合併症の予測因子となり得ることよりCAS術前検査として非常に有用な検査であると思われた.しかしながら,描出範囲が限られ,また高度石灰化病変では評価不十分となる場合もあるので,症例に応じて他の検査と併用して評価しなければならない.
【結語】
頸動脈プラークのエコー輝度は,CAS合併症の予測因子になり得ると思われ,頸動脈STENT留置術前検査としての超音波は有用である.