Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:不整脈

(S450)

カテーテルアブレーションに際しCARTOSOUNDシステムが有用であった心室頻拍の2例

Usefulness of Anatomical Navigation with CARTOSOUND System for Catheter Ablation, Two Cases of Ventricular Tachycardia

小見 亘, 松浦 伸太郎, 徳久 英樹, 山本 花奈子, 佐伯 隆広, 長井 英夫, 阪上 学

Wataru OMI, Shintarou MATSUURA, Hideki TOKUHISA, Kanako YAMAMOTO, Takahiro SAEKI, Hideo NAGAI, Satoru SAKAGAMI

国立病院機構金沢医療センター循環器科

Cardiology, National Hospital Organization Kanazawa Medical Center

キーワード :

【はじめに】
CARTOSOUNDシステムは,磁界と電界を用いたCARTO-3に,血管内超音波カテーテル(SOUND STAR)からの位置・画像情報を加えたもので,リアルタイムでの超音波画像を確認できるだけでなくこれらをもとに3Dマップを構築することが可能である.このシステムが有効であった心室頻拍の2例を経験したので報告する.
【症例1】
50代男性.造影剤によるショックの既往があり.頻発する非持続性頻拍に対するカテーテルアブレーション目的に入院.12誘導心電図の形態から流出路起源と考えた.大腿静脈より挿入したSOUND STARを右室流出路まで挿入し流出路付近のマップを構成した.右室流出路側からの焼灼では根治に至らなかったため,大動脈アプローチに切り替えた.アブレーションカテーテルで心室性期外収縮の再早期興奮部位を同定,リアルタイムの超音波画像でカテーテル先端は右冠尖と左冠尖内の境界に存在し冠動脈入口部から離れていることが確認された.同部位で焼灼を行ったところ心室性期外収縮は消失した.その後心室頻拍は認めず良好な経過である.
【症例2】
20代女性.ベラパミル感受性心室頻拍に対し近医にてカテーテルアブレーションを施行したが再発を認め,再アブレーション目的に当科紹介.右脚ブロック左軸偏位型の心室頻拍であり左室起源と考えた.大腿静脈から挿入したSOUND STARを冠状静脈洞に挿入し左室内腔を描出したところ中隔壁から自由壁に繋がる偽性腱索が描出された.アブレーションカテーテルを左室に挿入し,リアルタイムの超音波画像をガイドに頻拍中の偽性腱索の電位を連続的に記録することができた.偽性腱索の中隔側付着部での焼灼により心室頻拍は停止し,プログラム刺激でも誘発されなくなった.その後心室頻拍は認めず良好な経過である.
【結語】
CARTOSOUNDシステムを用いることにより,心腔内を鮮明にかつリアルタイムに確認しながらカテーテル操作が可能であり,合併症の回避に有用であることに加え,透視やCTのみでは認識が困難であった心内構造物での電位の解析が可能となり不整脈発生機序の解明にも寄与しうると考える.