Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:歪みイメージング

(S426)

Aixplorerを用いた組織弾性イメージングの基礎的検討

Fundamental examination of organization elastic imaging using Aixplorer

安本 浩二1, 安田 鋭介2, 熊田 卓3, 豊田 秀徳3, 多田 俊史3, 中村 学4, 乙部 克彦4, 川島 望4, 齊藤 幸映5

Kouji YASUMOTO1, Eisuke YASUDA2, Takashi KUMADA3, Hidenori TOYODA3, Toshifumi TADA3, Manabu NAKAMURA4, Katuhiko OTOBE4, Nozomi KAWASHIMA4, Yukie SAITOU5

1独立行政法人三重県立総合医療センター中央放射線部, 2鈴鹿医療科学大学保健衛生学部放射線技術科学科, 3大垣市民病院消化器内科, 4大垣市民病院診療検査科, 5キヤノンライフケアソリューションズ株式会社医療機器ニュープロダクト販売課

1Department of Radiology, Local Independent Administrative Institution Mie Prefectural General Medical Center, 2Dept.of Radiological technology, suzuka university of medical science, 3Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital, 4Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 5Medical Equipment New Products Sales Dept., Canon Lifecare Solutions Inc.

キーワード :

今回,ShearWave Elastographyを搭載した超音波診断装置Aixplorer (SuperSonic Imagine社)を用い組織弾性イメージングの基礎検討を行ったので報告する.
【使用ファントム】
弾性の異なる高分子ポリマーのElastographyファントム(OST株式会社)を使用し,ファントムAは,均一な弾性ファントム(ヤング率10kPa),ファントムBは10kPaのバックグラウンド(以下,BG)に,サイズが5mmと10mm で20kPaと30 kPaの模擬腫瘤(以下,結節)を深さ3cmと6cmに埋めたファントム,ファントムCはBGが30kPaで,20kPaの結節を深さ6cm,7cm,8cmに埋めたファントムである.
【方法】
測定部位にSWE ROIを設定し,Q-Boxを用いて任意の部位の弾性を計測した.計測は各条件で3回行い,mean±SDで評価した.検討項目は,①エコーウィンドウに設定するSWE ROIの設定位置,②Q-Boxの設定位置,③SWE Opt,Bモードのフォーカス深度,周波数,プローブの種類と持ち方,④エコーウィンドウ内の腫瘤位置,⑤SWE ROI内の腫瘤位置の違いが弾性値に及ぼす影響について評価した.
【検討項目】
①エコーウィンドウに設定するSWE ROIの設定位置 ②Q-Boxの設定位置 ③SWE Opt,Bモードのフォーカス深度,周波数,プローブの種類と持ち方 ④エコーウィンドウ内の結節位置の違い ⑤SWE ROI内の結節位置の違いが弾性値に及ぼす影響を検討した.なお,SWE ROIはShearWaveの計測領域,Q-Boxは弾性値計測ツールであり,測定は各条件で3回行い,mean±SDで評価した.
【結果】
①SWE ROIの深度別にみた弾性値は,ファントム中央の表面から順に8.67±0.25kPa,8.07±0.06kPa,7.73±0.76kPaと,深くなるに従って低値を示し,方位の違いによる一定の傾向はなかった.②Q-Box設定位置別の弾性値をみると,エコーウィンドウ右のROIでは8.1〜9.3kPa,中央が7.9〜9.4kPa,左が7.4〜9.5kPaに分布し,それぞれの変動率は順に5.0%,6.8%,7.8%であった.③SWE Opt(Res,Std,Pen),Bモードのフォーカス深度(2cm,5cm,9cm),周波数の違いによる弾性値の変動はいずれも認めず,ROIが深くなるに従って低値を示した.プローブ別にみた弾性値は,コンベックスが8.6±0.1kPa,リニアが8.03±0.06kPaと前者でやや高値を示した.また,プローブを左右反転した際にも変化はなかった.④エコーウィンド内のSWE ROI設定を方位(右・中央・左)別にみると,ファントムBでは右のROIが4.2±0.5kPa,中央が3.7±0.1kPa,左が4.0±0.2kPa,ファントムCでは右のROIが8.5±0.35kPa,中央が8.0±0.2kPa,左が8.77±0.35kPaと,エコーウィンドウ両側での弾性値が中央に比べて高値を示した.⑤SWE ROI内の結節深度(上・中・下)別にみるとROI上部から順に,ファントムBは,7.2±1.8kPa,6.0±1.0kPa,5.5±1.4kPa,ファントムCは,8.0±0.17kPa,7.9±0.12kPa,7.7±0.21kPaと深くなるに従いやや低値を示した.
【考察および結語】
Aixplorerによる組織弾性値の測定にあたって,SWE ROIとQ-Box設定位置による若干の変動を認めた.これは測定対象が浅い位置ではプローブの重さ,深い位置ではエコーの減衰,方位方向ではSWEのアルゴリズムの影響等が考えられた.また,一般的にShearWave Elastographyは術者による影響が少ないと言われているものの,安定した画像の描出にはプローブの重さや傾きが少なからず影響し,コンベックスではプローブの密着に工夫を要した.本法は,これらを考慮した弾性値の評価が必要と思われた.