Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:画像

(S421)

生体組織の光学特性を用いた超音波ボリュームデータの三次元画像構成法に関する検討

Visualization of Ultrasound Volume Data with Optical Properties of Biological Tissues

辻田 剛啓1, 小池 崇文2, 荻野 昌宏2, 柴原 琢磨2, 村下 賢3, 三竹 毅1, 林 哲矢1, 礒貝 尚史1, 鎌田 一志1

Takehiro TSUJITA1, Takafumi KOIKE2, Masahiro OGINO2, Takuma SHIBAHARA2, Masaru MURASHITA3, Tsuyoshi MITAKE1, Tetsuya HAYASHI1, Takashi ISOGAI1, Kazushi KAMADA1

1日立アロカメディカル株式会社第二メディカルシステム技術本部, 2株式会社日立製作所横浜研究所, 3日立アロカメディカル株式会社第一メディカルシステム技術本部

1Medical Systems Engineering Division 2, Hitachi Aloka Medical, Ltd., 2Yokohama Research Laboratory, Hitachi, Ltd., 3Medical Systems Engineering Division 1, Hitachi Aloka Medical, Ltd.

キーワード :

【はじめに】
近年,光の挙動を再現することで現実感を伴う三次元画像を構成する手法が考案されている[1].産科領域では超音波診断装置にも取り入れられつつあり,胎児の描出において有用性が期待されている.これらの手法は産科領域に限らず三次元画像の有用性を向上できる可能性があると考えられる.
我々は生体組織における光学特性に基づいた超音波ボリュームデータの三次元画像構成法を検討し,従来画像との比較を行ったので報告する.
【方法】
水槽中に腫瘍を模したターゲットを固定した模擬腫瘍ファントムを試作し,日立メディコ社製超音波診断装置HI VISION Ascendusと,リアルタイム3D用リニア形探触子EUP-LV74を用いてボリュームデータを収集した.ターゲットは直径15mmの球体から棘状の突起が伸びた樹状構造をしている.収集したデータに対し,胸部腫瘍の吸収係数(Petersら[2])を用いて仮想光源から光の伝搬経路に沿って吸収と散乱の効果を付与した三次元画像を作成し,従来画像と比較した.
【結果】
図(a)に従来法,(b)に提案手法による三次元画像を示す.本手法による三次元画像は光の吸収効果より生じる濃度差により形状が描出され,超音波の輝度境界を輪郭とする従来法と異なり写実的な画像を構築可能であった.また本手法では従来法に比べ個々の突起が容易に識別可能であった.
【まとめ】
胸部腫瘍の光学特性に基づいた三次元画像構成法を検討し,ファントムを用いて効果を確認した.本手法により写実的な表現だけでなく,対象物の微細な構造がより明瞭に再現できることが確認できた.これらの結果より,本手法は産科以外の領域においても立体的な形状観察に有用であることが期待できる.今後は多様な情報を併用することで診断に役立つ表示手法について検討していきたい.
【参考文献】
[1]Erik Sundn at el “Image planes sweep volume illumination” IEEE Trans. Vis. Comput. Graph. 2011
[2]V G Peters at el “Optical properties of normal and diseased human breast tissues in the visible and near infrared” Phys. Med. Biol. 1990
HI VISION Ascendusは株式会社日立メディコの登録商標です.