Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

奨励賞演題:消化器 奨励賞

(S412)

Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)による自己免疫性肝炎の治療評価

Therapeutic response of liver stiffness measured by Virtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)in autoimmune hepatitis

杉浦 香織

Kaori SUGIURA

倉敷中央病院消化器内科

Gastroenterology and hepatology, Kurashiki Central Hospital

キーワード :

【目的】
Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)による肝硬度測定は慢性肝炎の線維化や急性肝炎の活動性の評価に有用であると報告されている.今回我々は自己免疫性肝炎(AIH)に対するステロイドの治療効果を評価する上でのVTTQの有用性を検討した.
【対象・方法】
2010年8月から2011年11月までに当院で肝生検施行されAIHの急性発症型と診断されかつ,ステロイドを導入した25例(男性4例,女性21例,平均年齢61±13歳)を対象とした.使用機種はシーメンス社製S2000による組織せん断弾性波速度(m/s)にて肝右葉のVTTQを測定した.
1)治療開始時のVTTQと組織所見(炎症パラメーターはInterface hepatitis,Centrilobular nercrosis,Plasma cell infiltrationの3項目をそれぞれ0〜3に点数化,線維化パラメーターは新犬山分類を基に0-4に点数化)との関連性を評価.
2)VTTQとALTの経時的推移について検討を行った.ALTが一度正常化した後再上昇したものを再燃例(8例)として,治療開始時,ALTが正常化した時点(寛解時),再上昇した時点(再燃時)にVTTQを測定した.また,再燃せずALTが正常化したものを寛解例(17例)として治療開始時と寛解時にVTTQを測定した.
【結果】
1)VTTQと組織所見の関連性については,炎症パラメーターのInterface hepatitis,Centrilobular nercrosis,Plasma cell infiltration 3項目の合計(r=0.077,p=0.715)で有意な相関はみられず,線維化パラメーター(r=-0.080,p=0.704)でも有意な相関はみられなかった.
2)再燃例は,VTTQが治療開始時から寛解時にかけて有意に低下し(P=0.043,Friedman検定),寛解時から再燃時にかけて有意に上昇を示した(P=0.001).寛解例においても,治療開始時から寛解時にかけて有意に低下した(P=0.002,Friedman検定).また,寛解時のVTTQは再燃例が寛解例に比べ高い傾向(p=0.061)であり,寛解時のVTTQ値が高いほど再燃しやすい可能性が示唆された.
【結論】
急性発症型のAIHでは線維化や壊死炎症などの多彩な病態が混在しており,組織所見の定量的評価が困難であった.しかし,経時的に測定していくことでVTTQはAIHのステロイドの治療効果を評価する上で有用と思われ,今後症例を重ねて検討していく必要がある.