Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

奨励賞演題:基礎 奨励賞

(S408)

軟組織内微細石灰化Twinkling Signに関する実験的研究:粒子径,粒子種類が与える影響

In vitro Study on Twinkling Sign of Microcalcification in Soft Tissue: The Effect of Particle Size and Particle Type

劉 磊1, 船本 健一2, 田邉 将之3, 早瀬 敏幸2

Lei LIU1, Kenichi FUNAMOTO2, Masayuki TANABE3, Toshiyuki HAYASE2

1GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波製品開発部, 2東北大学流体科学研究所, 3熊本大学大学院自然科学研究科

1Ultrasound General Imaging Japan, GE Healthcare Japan Corporation, 2Institute of Fluid Science, Tohoku University, 3Graduate School of Science and Technology, Kumamoto University

キーワード :

【研究目的】
乳がんと微細石灰化は深い関係を持つことが知られており,超音波を応用した微細石灰化検出法は乳がんの早期発見に有用である.微細石灰化がColor FlowやB-Flowなどの超音波照射に対して特異的なエンハンスメントを示す“Twinkling sign (TS)”が従来研究で報告されている[1].TSは臨床応用が期待されるが,発生メカニズムはまだ十分に理解されていない.従来研究においてTS発生は粒子の表面粗さに起因すると仮説がなされている[2]が,TS強度との関係を定量的に評価した研究は少ない.本研究ではTS発生メカニズムの解明を目的とし,微粒子サイズおよび微粒子種類(表面粗さ)がTS発生に与える影響を実験的に検証した.
【研究内容】
本研究は軟組織模擬ファントム材料に濃度8%wt のPolyvinyl Alcohol (PVA)ゲルを採用し,微細石灰化代替物にガラスビーズ(粒径1146μm, 402μm, 242μm 株式会社テックジャム,図1a)と炭酸カルシウム粒子(平均粒径350μm, 株式会社ニューライム,図1b)を用いた.超音波照射実験ではLOGIQ S8 (GE Healthcare) とML6-15-Dプローブを使用し,Color FlowモードでのTS観察実験を行った.計測された超音波画像を処理し,微粒子サイズおよび微粒子種類(表面粗)とTS発生強度の関係を定量評価した.
【結果・考察】
計測結果の一例を図1cに示す.ガラス粒子からのTS強度は粒子径に伴い増加した.一方,炭酸カルシウム粒子のTS強度はほぼ同サイズのガラス粒子と比較して同程度以下であった.本研究で得られた結果は,従来研究でTS発生原因として指摘されてきた粒子の表面粗さが,TS発生の主たる原因でないことを示唆した.今後引き続き実験的研究と数値シミュレーション解析を並行して, TSの発生原因解明を進める予定である.
【謝辞】
本研究は東北大学流体科学研究所における公募共同研究により遂行された.
【参考文献】
[1]Luca B. et al., Journal of Ultrasound in Medicine, 2008, Volume 27: 1187-1194.
[2]Rahmouni A. et al., Radiology, 1996; Volume 199: 269-271.