Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 整形外科
パネルディスカッション19 <治療に活かす> 整形外科領域の超音波:診断から治療まで使い倒す

(S395)

リウマチ診療における超音波の活用方法

Utility of ultrasound examination for rheumatic disease in clinical practice

小笠原 倫大

Michihiro OGASAWARA

順天堂大学膠原病内科

Department of Internal Medicine and Rheumatology, Juntendo University School of Medicine, Tokyo, Japan

キーワード :

超音波(US)を用いた骨関節軟部組織の解剖学的理解が,関節リウマチの鑑別・早期診断,疾患活動性判定,骨関節予後判定に有用であることから,リウマチ領域でのUS使用が注目されている.骨関節領域で,観察可能な主な病変とその定義を示す.
(ア) 滑膜肥厚と滑液貯留:関節,腱鞘,または滑液包内で低エコーを呈する(時に中から高エコーの場合もある)
① 滑膜肥厚は,移動性が無く圧縮性に乏しく,ドプラシグナルを呈する事がある.
② 滑液貯留は,無あるいは低エコーを呈することが多く,移動性があり圧縮性で,ドプラシグナルは呈さない.
(イ) 骨びらん 縦断,横断の2平面で観察される関節内の骨表の不連続点.
(ウ) 腱鞘滑膜炎 縦断・横断の2平面で観察される,腱鞘の中の低エコーあるいは無エコーの肥厚した組織で,液体を伴うこともある.ドプラシグナルを示すことがある.
(エ) 腱付着部炎 縦断,横断の2平面で観察される,腱または靭帯の骨付着部での異常な低エコーあるいは肥厚で,ときに石灰化を伴う事がある.ドプラシグナルを呈することがあり,また腱付着部に骨棘,骨びらん,骨表不整等の骨変化がみられることがある.肥厚した滑膜部位に一致して認められるパワードプラ(PD)シグナルは活動性を有する滑膜炎を意味し,関節炎類縁疾患においてはその存在部位,有無,程度,部位分布の確認がUS検査の中心となり,その情報により疾患鑑別,活動性判断,予後予測が行われる.微細な血流であるPDシグナルはプローブの圧迫により容易に検出できなくなるため,観察部位には他臓器でのUS検査より多めにハードゼリーを盛るように用いて,プローブは皮膚につけずにゼリーにのせるイメージで行う.さらに,ドプラ周波数,PRF(pulse repetition frequency),ウォールフィルター,フォーカス,ゲインなどの機器設定によりPDシグナルの感度が変化するため,滑膜炎の有無判断での擬陽性,偽陰性を可能なかぎり減らすよう設定には注意を要する.すでに,USは関節リウマチをはじめとする関節炎類縁疾患診療に必要不可欠な検査となっているが,整形外科領域でのUS使用とは観察部位,PDモードの多用など,多少異なるため,その違いを知り多くの症例を経験し慣れる必要がある.