Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション13 <診療に活かす> カテゴリー3の石灰化を掘り下げる:画像診断の特徴と対策について

(S370)

カテゴリー3 の石灰化:画像診断とその後の方針について

Differential diagnosis of lesions with calcification by ultrasound

安田 秀光, 橋本 政典, 杉浦 良子, 清水 利夫

Hidemitsu YASUDA, Masanori HASHIMOTO, Ryouko SUGIURA, Toshio SIMIZU

国立国際医療研究センター外科

Department of Surgery, National Center for Global Health and Medicine

キーワード :

【目的】
マンモグラフィ(MMG)でカテゴリー3と診断された石灰化病変に対し,USによる良悪性鑑別の所見と診断への手順の検討
【対象】
2005年より当科にて診断治療した石灰化病変50症例で,組織診断が得られた病変を中心に,一部長期経過観察された症例を含め検討した.
【方法】
MMG上で,乳頭から大胸筋の表面に垂線をひき,そこまでの距離を2方向で測定し,撮影による移動を考慮して,second look USによる石灰化病変の位置を確認することができた.点状高エコー(SE)の明瞭性,密度,音響陰影(AS)の有無.同部位での小嚢胞様構造,低エコー域,血流増加,硬さ(硬結)について検討した.乳管内の小病変に対しては,FNAを施行し,低エコー域・構築の乱れや多発小嚢胞像に対しては組織診は主にセミオートの16Gの穿刺針によるCNBを用いた.US所見が不明瞭な症例では,USガイド下で小クリップを乳房につけた後MMGをとり,石灰化部位の再確認し,摘出生検を行った.USで石灰化病変の場所を確定困難なときには,ステレオガイド下のマンモトーム生検を行った.数mmの小病変の手術には,USガイド下でフックワイヤーを病変部に留置して摘出手術を行った.MRIを石灰化病変周囲の腫瘍性変化を同定するのに用いた.
【結果・考察】
1) 石灰化病変の同定 second look USで病変の部位,範囲を確認でき,乳管内,外の鑑別も可能であった.2) 鑑別診断 a) second look USで,最小0.4mmの石灰化も検出し得た.b) MMGと超音波で対比ができた,腫瘤像非形成性病変の良性石灰化病変(17症例)と悪性石灰化病変(15症例)について,USとMMGで計測した石灰化の大きさの相関をみた.ともに有意に相関が見られた.悪性(表1単位mm USm, MMGm)では,良性(USb, MMGb)に比べ,ばらつきが大きかった.さまざまな大きさの石灰化が密集しているためと考えられた.c) US上石灰化病変の悪性を疑う所見として;点状高エコー(SE)の輝度が高い.密集し,音響陰影(AS)を伴い,Vascularityが増加し,随伴する低エコー域がある.良性を示唆する所見として;SEの輝度が不揃い散在し,ASが少なく,Vascularityが低く,小嚢胞様構造をしばしば伴うことなどであった.d)低エコー域を伴わない,点状高エコー(SE)の分布する領域(石灰化)しか認められないDCISの症例を3例認めた.
【結語】
石灰化病変の診断治療にUSの併用は有用である.