Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション13 <診療に活かす> カテゴリー3の石灰化を掘り下げる:画像診断の特徴と対策について

(S368)

カテゴリー3の石灰化:マンモグラフィの特徴

Breast calcifications interpreted as category 3 : mammographic characteristics

大貫 幸二

Koji OHNUKI

岩手県立中央病院乳腺外科

Division of Breast Surgery, Iwate Prefectural Central Hospital

キーワード :

マンモグラフィは,高い空間分解能と石灰化に対する高いコントラスト分解能を有しており,石灰化の診断に適した検査方法である.乳癌に伴う石灰化は,ほとんどが乳管内病変に伴って存在しており,石灰化の良悪の鑑別診断の最初のステップは,存在部位が乳管内なのかそれ以外なのかを考える.乳管の大きさは限られているために,乳腺内に存在していても明らかに粗大な石灰化は乳管外と判断しカテゴリー2と診断できる.乳管内に存在している可能性がある石灰化に対しては,質的診断を行う.乳癌の石灰化は,その形態から壊死型石灰化と分泌型石灰化に大別される.壊死型石灰化は,乳管内の壊死物質への石灰沈着であり,comedo typeの非浸潤性乳管癌に特徴的に認められる.形態は多形性ないし微細線状・分枝状であり,良性疾患では認められないことから,多くの場合はカテゴリー4以上と判断される.それに対して,分泌型石灰化は分泌物の結晶化による石灰化で,形態は微小円形,淡く不明瞭である.分泌型石灰化は良性病変でも認められるため,分泌型石灰化が考えられる形態の場合は,主に分布によって悪性度を考慮する.両側,びまん性に分布する場合は,腫瘍に伴うものではなくて乳腺のコンディションに伴う石灰化なのでカテゴリー2と診断し,一つの乳管腺葉系に分布していると考えられる場合はカテゴリー3以上と診断する.質的診断には,形態と分布のほかに密度,均質性,背景の濃度,年齢,経時的変化なども考慮する.カテゴリー3の石灰化としては,存在部位が乳管内かどうかの判断に迷う場合,壊死型石灰化が否定できない場合,乳管内にあると思われ良性病変が疑われるが悪性も否定できない場合などが考えられる.発表では,それぞれの場合の臨床症例を呈示し,鑑別診断のポイントと追加の画像診断に求められる要件などについて解説する.