Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション12 <教育に活かす> 百花繚乱! 乳房超音波検査用語

(S365)

非腫瘤性病変に関する用語

Terminology of non-mass like breast lesion

位藤 俊一

Toshikazu ITO

地方独立行政法人りんくう総合医療センター外科

Surgery, Rinku General Medical Center

キーワード :

本セッションのテーマである腫瘤および非腫瘤性病変の用語うち日本超音波医学会用語診断基準委員会で現在進行中の非腫瘤性病変乳腺疾患ガイドライン小委員会での検討事項を中心に述べる.非腫瘤性病変の用語に関しては現時点で議論中の用語があるものの日本超音波医学会だけでなく,日本乳腺甲状腺超音波学会(JABTS),日本乳癌学会や日本医学放射線学会など他学会との整合性を保つことが必要である.また,他領域との整合性を保つために2012年春の小委員会では消化器領域の用語委員にオブザーバとして参加いただいた.
現時点での非腫瘤性病変は以下のように分類されている.
1)乳管の拡張を主体とする病変
2)乳腺内低エコー域
3)構築の乱れ(Distortion) Spiculationも含む
4)その他 a)小嚢胞集簇像 
       b)点状高エコー(echogenic foci)
「乳腺内低エコー域」の定義は「周囲乳腺あるいは対側乳腺と性状を異にする周囲乳腺より低エコー領域で,腫瘤として認識しがたいもの」であり,必要に応じて「斑状低エコー域」「地図状低エコー域」「境界不明瞭な低エコー域」の用語を用いることは同意されている.Architectural distortionの定義は「正常乳腺組織の構築の歪み(ゆがみ又はひずみ),あるいはある領域に集中する引きつれを示すもの」である.超音波検査におけるArchitectural distortionに関しては収縮性変化(または収束性変化)に限定して用いる方がよいとの意見や極性の乱れに関しては低エコー域に含めた方がよいとの意見も一時はあったが,2013年1月現在,Architectural distortionには極性の乱れも含むこととなっている.Spiculationに関してはSpiculationやその他の用語をArchitectural distortionの所見の1つに含めるか否かについては再検討予定である.Architectural distortionに関する日本語表記に関しては,一時は「構築の乱れ」は妥当ではないとの意見が多く,他の用語の候補として「構築の歪み(ゆがみ,ひずみ)」または「引きつれ」などが挙げられたが,現時点では,日本超音波医学会,JABTS用語診断基準委員会とも「構築の乱れ」のままでよいとの意見が多数を占めている.
「多発小嚢胞像」に関しては現時点では「小嚢胞集簇像」に変更修正され,定義は「乳腺内に小嚢胞(数mmの大きさ)が局所性,区域性に多数存在するもの」とされている.「小嚢胞集簇像」は悪性であることが少なく悪性であっても悪性度も高くないため,非腫瘤性病変のにおける重み付けをやや軽くし,「その他」に入れることとなった.
議論された最新の情報をもとに述べる予定である.